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Kenの日記
by Ken
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■イラク問題
全世界のイスラム教徒人口はおよそ16億人だそうです。その中で「スンニ派」が主流(約9割)です。少数派のシーア派が多数を占める国がイランです。イラク・シリアは国民の大多数はスンニ派ですが、政権を掌握しているのはマリク政権・アサド政権のシーア派です。シリア・イラクに住むスンニ派武装集団がシリア・イラク横断的にスンニ国家建設を目指しています。シーア派国家のイランはイラクのマリク政権を支援しています。アメリカは行き掛かり上「マリク政権」を支援せざるを得ないのですが、どこまで介入するのか非常に難しいところです。
アメリカは今回のイラクでの紛争を「テロとの戦い」と位置付け「宗教対立」の構図をできるだけ消したいと考えていますが、当事者達は言う事を聞きません。ケリー国務長官の「宗派横断的な救国内閣を」という要請をマリク政権は拒否しました。イランが本格的に表に出てくると今回の紛争は「シーア派対スンニー派の争い」の様相が強まります。ここでイスラム教と関係の無いアメリカがどちらかに加担すれば、それに対立する派を敵に回すことになるのは明らかです。
アメリカ国民の気持ちを想像すると「もういい加減に揉め事に口を出すことはやめようよ」ということになるでしょう。アメリカがエネルギー問題が解決(シェールガス採掘が軌道に乗って)し、友国の「イスラエル」が攻撃の的にならない限りアメリカはイラク問題に深入りしたくないのです。
同じような構図が東南アジアでも描かれています。中国と日本・フィリピン・ベトナムとの間で揉め事がありますが、アメリカは出来たらこの紛争に関わりたくないと考えているでしょう。もし北朝鮮問題を中国が引き受けてくれるなら、日本・韓国に駐留する米軍の軍隊は縮小していきたいということが本音だと思います。安倍政権が憲法修正も含めて戦後体制の見直しをやりたがっているので、アメリカとしては丁度良いタイミングになっています。
アメリカの第5代大統領のジェームス・モンローが「モンロー主義」を唱えたのが1823年です。後8年で200年記念となります(ちょうどESLポッドキャストで25日に紹介されました)。モンローは「東半球には構わないから、西半球には口を出すな」と主張したのでした。イギリスのグリニッジからすると、ヨーロッパも中東もアジアも東半球で端っこはニュージーランドです。西半球の端はハワイです。「中国がヨーロッパ・アフリカに接近しロシアと協調して東半球の世話をしてくれるのなら、いっそ任せてもみようか」と考える日も近いかもしれません。西半球には「イスラム教徒」は殆ど住んでいません。
06月26日(木)
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