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Kenの日記
by Ken
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■昼夜の広上さん指揮のコンサート
今日午後サントリーホールで行われた「トヨタ青少年オーケストラキャンプ(TYOC)」のコンサートを聴いてきました。今回で30回を迎えるTYOCはトヨタ自動車の社会貢献活動の一環でJAO(日本アマチュアオーケストラ連盟)との共催です。日本各地から集まった若いアマチュア演奏家がサントリーホールで元気いっぱいの演奏を聞かせてくれました。
曲目
レスピーギ: 交響詩『ローマの松』
ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 (ヴァイオリン:三浦文彰)
(アンコール:アルプス一万尺変奏曲)
サン=サーンス: 交響曲第3番 ハ短調 「オルガン付き」(オルガン:池谷瑞季)
指揮:広上淳一
演奏:日本青少年交響楽団
サントリーホール 午後2時開演
管楽器・打楽器セクションで大人数の奏者が出演できる曲となると、どうしてもロマン派以降の大規模な曲となります。今日のプログラムも「ローマの松」「サンサーンス3番交響曲」という大作を含むものとなりました。両方の曲とも分厚い弦楽演奏と管楽器・打楽器の大音響がサントリーホールの広い空間を埋めました。こういう曲の仕上げには定評ある「広上さん」の指揮なので非常に聞き応えのする演奏となりました。聴衆に関係者が多いとは言え熱烈で長時間の拍手が続きました。
個人的には大作の間に演奏されたソリスト三浦さんのショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲に大変感動しました。三浦さんのボーイングは大変しなやかで洗練されています。使用楽器は貸与されている「1748年Guadagnini」という名器だそうですが、その名機が気持ちよさそうに多彩な音色を聞かせてくれました。100人を超える演奏家の大音響と比べても遜色のないほど一丁のヴァイオリンの感動的音色が空間に広がりました。日本人若手ヴァイオリにストは多士済々ですが今日の三浦さんはその中でもトップを走る一人だと思いました。
若いオーケストラの演奏を聞き終えて帰宅してみると、NHK教育テレビ夜の「クラシック音楽館」で京都市交響楽団のコンサートの模様が放送されていました。指揮は常任指揮者の「広上さん」。偶然とは言え、広上さんのコンサートをもう一度聞くことになりました。京都市交響楽団第577回定期演奏会(2014年3月14日京都コンサートホール)
曲目
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調(ピアノ:ニコライ・ルガンスキー)
マーラー:交響曲第1番二長調「巨人」
指 揮:広上淳一
管弦楽:京都市交響楽団
京都市響・広上コンビのマーラーは大変な名演だと思います。NHKのインタビューで広上さんが「指揮者は演奏者の能力を引き出しているだけ」とおっしゃっていましたが、演奏家から引き出されたのは「演奏する喜びと感動」なのだと思いました。それは演奏中の奏者の表情・仕草と終演後の演奏者の満足そうな表情に現れていました。これまであまりNHK放送でアップの表情が写しだされることのないオケのメンバーは今回少し戸惑ったようですが、気持ちのこもった演奏をすれば全国放送に出演する機会も増えるという証拠です。
マーラーの交響曲が決して自分達から遠い西洋の音楽ではなく、身近な自分達の音楽であるかのような納得感のある演奏でした。広上さんの指揮に全身全霊で応える京都市響は大変立派なオケだと思いました。特に弦楽器の素晴らしさは特筆ものだと思います。トップから後ろのプルトまで弓を最大限使った力強いボーイングは、バイオリンからビオラチェロ・コントラバスまで共通したもので、弦楽器の統率の取れた分厚くて熱い音が素晴らしかったです。
京都市響の演奏会が満員になるという話を冒頭で紹介していましたがそのことが納得できる演奏でした。現在の日本のプロの演奏会でこれほどの熱の入った演奏がなされるチャンスは本当に稀れだと思われます。アマチュアは勿論のことプロ演奏家からも最大限を引き出す広上さんの指揮は物凄いと思いました。
03月30日(日)
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