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Kenの日記
by Ken
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■アレグリーニはブレインを超えたか?
クラウディオ・アバドが自ら設立したモーツアルト管弦楽団(イタリア・ボローニャ市)のモーツアルトの録音に注目しています。ウィーンフィル、ベルリンフィルの主席指揮者という輝かしい過去を持つアバドが取り組んでいるプロジェクトですが、これが変に老成していなくて、瑞々しいモーツアルトになっているのがアバドらしいと思います。モーツアルト管弦楽団が若い音楽家の集まりだからでしょうか。こういう新録音のCDは買いたくなります。その中のひとつですが、名手アレグリーニをソリストに迎えたモーツアルトのホルン協奏曲を聴きました。
これまではデニス・ブレイン、カラヤン、フィルハーモニア管のモーツアルトのホルン協奏曲を聴いてきました。この演奏はこの楽曲の決定版と言われていて、なかなかブレインに匹敵するようなホルン奏者が現れないなと考えてきましたが、このアレグリーニこそブレインに並ぶ演奏家だと思いました。若干23歳でムーティによってスカラ座主席に抜擢されたという逸話の持ち主です。
聞き比べてみました。ブレインの演奏はその高貴なまでのレガートや天才的な歌い回しにおいてアレグリーニを凌いでいると思いますが、低音から高温までの音の均一した発声(ベルカント発声法のような)とそれに基づく確実なテクニックにおいてアレグリーニに軍配が上がると思いました。ブレインとアレグリーニとも30歳代後半の録音です。生きている時代に50年の差があって楽器構造の進歩を考え合わせれば、ブレインのすごさも再認識させられます。
ホルン協奏曲を聴いていて感心したことですが、トリルや細かな装飾音が非常に洒落ていて新鮮に聞こえることです。モーツアルトの曲は装飾音が豊富でその演奏の仕方で大分ニュアンスが変わりますが、アバドのモーツアルトではそこが大きな特徴となっています。CDショップ店頭の試聴で聴いた交響曲のアルバムでも同じ感想を持ちました。非常に装飾音を明確に演奏していて、装飾音が楽曲の秘密の味付けになっているような感じを抱かせます。アレグリーニの演奏においても、ホルンではさぞかし難しいと思われるトリルを音程正確に且つ非常に的確なスピードで演奏されています。この優れたトリル奏法も魅力のひとつだと思いました。
02月05日(日)
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