ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99094hit]

■「過越」(Passover)
バッハのマタイ受難曲は「マタイ福音書」第26節からの始まります。予習のために断片的な知識を整理しておきます。

26節「イエスを殺す計略」

イエスは弟子達に「貴方も知っているとおり二日後は過越の祭りである。人の子は十字架につけられるために引き渡される」と予言する。祭司長は長老達と大祭司の家に集まりイエス捕らえて殺す計略を練る。

「ペタニアで香油を注がれる」
ペタニアの「らい病」のシモンの家で一人の女が高価な香油をイエスの頭に注いだことを弟子達は非難した。これを聞いたイエスは「この人は渡しの身体に香油を注いで葬る準備をしてくれた。この人のしてくれたことは長く語り継がれるだろう」と予言したのであった。

「ユダが裏切りを企てる」
イスカリオのユダは祭司長の所に行きキリストを引き渡すといくらもらえるかといった。祭司長は「銀貨30枚」を支払う約束をした。

「過越の食事」
「除酵祭」の第一日に12人弟子達はキリストのところにやってきて「過越の食事」を摂ることとなる。キリストはその食事の最中に「貴方方の一人が渡しを裏切ろうとしている」といった。それは「渡しと一緒に鉢に手で食べ物を浸した者だ」といった。ユダが「まさか私のことでは」というとキリストは「その通りだ」と言う。

「主の晩餐」
イエスは弟子達と食事をしている時にパンを割いて弟子達に与えながら「とって食べなさい。これは私の身体である」。また、杯をとって弟子達に渡し「この杯から飲みなさい。これは罪が赦されるように多くの人達のために流される私の血、契約の血である」と言った。

(以下続く)

「過越の祭り」について

ユダヤ人が神の啓示を受けた「モーゼ」の指導の下にエジプトを脱出しカナンにやって来てヤハウェの神を信ずる共同体的な生活をはじめた事を象徴的に表した祭りである。紀元前1000年頃の話。このエジプト脱出に際してエジプト王ファラオがモーゼをリーダとするユダヤ人の邪魔をしようとしたので、神はエジプト人に対して「10の災い」を課したのであった。

その十番目の災いは「人間から家畜に至るまで、エジプトの「すべての初子を殺す」というものであった。神は戸口に印のない家にその災いを臨ませることをモーセに伝える。つまり、戸口に印のある家にはその災厄が臨まなかった(過ぎ越された)ということに由来するのです。

キリストは弟子達との「過越しの夕食」の後に祭司長・長老等に捉えられしまう。そしてその翌日に総督「ピラト」に身柄を引き渡されて、死刑の判決を受け十字架にかけられる。そして昼の12時頃に域を引き取る。この時に地震が起きて大地が割れ墓に眠っていた聖人たちが生き返る。その夕方にはマグダラのマリア等に見守られながらキリストは墓に葬られる。そして翌日の早朝キリストは復活する。この3日間が聖なる3日間というわけ。マタイ受難曲はこの期間のことを音楽にしたものである。
02月22日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る