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Kenの日記
by Ken
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■ワレリー・ゲルギエフとキーロフオーケストラ
所沢の「MUSE」でゲルギエフとキーロフオーケストラの演奏会を聴いてきました。生憎小雨がぱらつき寒い一日でしたが、素晴らしいコンサートが聞けてとても幸せな気分です。曲目はストラビンスキー「春の祭典」とチャイコフスキーの交響曲第五番。鳴り止まない拍手に応えて、アンコールとして「くるみ割り人形」から、花のワルツとトレバックが演奏されました。
本当に稀な素晴らしい演奏会だったのですが、会場のMUSE大ホールの後ろの方はかたまって空席がありました。当日売りはS席とA席しか残りがないといっていたので、どこかの企業でも買い占めていたのでしょうか。本当に勿体ないと思いました。
演奏会が素晴らしいものになりそうな予感は始まりからありました。キーロフオケが舞台の袖から出てくるときに非常に和やかにリラックスして楽しそうに出てきたからです。特にコンサートマスタとビオラトップは何やら話していました。ゲルギエフが舞台の右袖から出てきたので少しびっくりしました。今日の私達の席はS席で舞台の左側のバルコニー。ファーストバイオリンの後ろの人の音がギンギン聞こえる席です。ゲルギエフの「息」の音もしばしば聞き取ることが出来ました。
春の祭典は非常に丁寧な演奏でした。非常に荒々しい曲ですがゲルギエフは丁寧に上品に仕上げたと思います。もちろん金管・打楽器の音量、弦楽器の鋭いボーイングは鋭角的なのですが全体の印象は上品なのです。「春祭」ってこんなに短かったのかしらと思う演奏でした。二部に入ってから身体を乗り出して聞いていたので後で横の妻から「見えなかった」と大分文句を言われました。ゲルギエフの踊るような指揮に引き込まれていたのでした。
ゲルギエフは指揮台を使いませんでした。指揮台がないので随分動き回っていました。道があれば木管の前まで行きそうな雰囲気でした。「春祭」では譜面を用意して比較的長い「指揮棒」を使っていました。それでも左手は何時も細かい動きで支持を与えます。そして大きな「息の音」。冒頭のファゴットと一緒に変な音がすると思ったら「息」でした。
チャイコフスキーは何という自由な演奏でしょう。これまでのチャイコフスキーの印象から大きく踏み出しました。1990年のソビエト崩壊以降、ロシア芸術のエースとして世界に飛び出し、そして今や「世界一」忙しく活発に活動する「ゲルギエフ」の自信作と言っていいでしょう。ゲルギエフの指揮に絶妙に反応する「キーロフ」も凄いです。弦楽器の合奏能力は世界トップクラス。管楽器打楽器も勿論凄い。ファーストバイオリンの最後尾の女性演奏者がものすごい音で弾いていました。華奢な腕なのですが「弓」を長く使って、平気な顔をして凄い速さで腕を動かします。体力が違うのかなと思いました。
演奏終了後は長い拍手が続きました。ゲルギエフも満足そうでした。楽屋裏でファンのために疲れているはずなのにサインに応じてくれました。私達も並んでサインを頂いてきました。下記がそれです。


サインに応ずるマエストロ。疲れが見えます。ありがとうございました。
11月11日(日)
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