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Kenの日記
by Ken
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■NHK交響楽団80周年
1926年に創立されたNHK交響楽団は昨年創立80周年を迎えました。私が小学生・中学生の頃にはクラシック音楽といえば、NHK教育テレビで放送されていたN響のコンサートでした。そのNHKの80年の歴史を紹介した本が出版されました。「N響80年全記録」(佐野之彦著)です。

この本はその時々の「指揮者」を軸に、NHK交響楽団の悪戦苦闘・成長の歴史を綴っています。その指揮者招聘に際しては事務方の有馬大五郎事務局長の役割が非常に大きかったとのこと。こうした裏方の話は新鮮でした。

指揮者でいうと、「スウィートナー、ホルストシュタイン、マタチッチ、スベトラノフ、ブロムシュテット」当たりの印象が深いです。マタチッチ、スベトラノフの演奏は本当に豪快であったと思います。変った経験では、ゲルギエフが振った「展覧会の絵」。途中までゲルギエフにしっかり食らい着いていったNHK交響楽団は「木管の気持ちの入っていない演奏」を契機に全体が崩れていって「いつものN響」にもどってしまった様には呆れてしまいました。

また1995年の阪神大震災直後の今は亡き「ロストロポーヴィッチ、小沢」との「ドボコン」も忘れられません。32年振りの再会でした。演奏自体は緊張感に満ちたものでした。阪神大震災の犠牲者を悼む「ロストロポーヴィッチ」のメッセージに小沢・N響も昔の「しこり」を少しの間忘れたようでした。しかしN響の緊張した演奏は「愛情」というより「警戒心・競争心」という方が当たっているような感じでした。小沢も必死に全能で振ったのでしょうがそれはN響に「心からの共感」を醸し出すものにはなりませんでした。このコンビが別れて既に12年が経過しました。

この本は「指揮者との関係」を軸に話が進んでいきます。私としては「コンマスの指導力」あるいは「木管トップ」あるいは「弦楽器主席奏者」を軸に話を展開してくれるともっと面白い話になるだろうと思われます。特に弦楽器の合奏力は世界一流だと思われますが「木管トップ」が奏でるソロには不満を感じた経験が少なからずあります。この本では「オペラ経験」の不足という指摘をしていますが、将にその通りだと思います。それも日本人のオペラ伴奏ではなく、世界の超一流歌手の伴奏経験が必要だと思いました。
09月27日(木)
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