ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99421hit]
■メータ、ロストロポーヴィッチ演奏会
金曜日から日曜日まで、ムンバイ市南端の海に面したオペラ劇場は別世界です。そこはヨーロッパ、それもイタリアです。
ズビン・メータは手兵のフィレンツェ市立歌劇場オーケストラをそのままムンバイに持ってきました。余り使うことのないハープ。ブラームス1番で活躍するコントラファゴット。出番の少ない楽器でも手を抜かずにイタリアから持ってきました。
TATA財閥がムンバイ市民にプレゼントしたオペラ劇場の音響効果は素晴らしいものでした。偶然隣に座っていたミュンヘンから来たという外科医は、始めて聞くTATA劇の音響はニューヨークのリンカーンセンタに似ているといっていました。S席でコンサートを聞く機会は日本でも殆ど無いですが、このホールの音響は素晴らしいです。
関係者全員連れてきたようなフィレンツェ歌劇場のオケは、非常に暖かくバランスの良い音でした。オペラ伴奏で重要な木管楽器は名手ぞろいです。オペラ上演の可能な広い舞台ぎっしりのオケの分厚い音は、日本でもなかなか聞けない迫力でした。
TATA財閥はムンバイのパルシー(ゾロアスター教徒)の象徴のような存在です。代々の財閥首脳はインドの近代化文化の振興に腐心しました。初代ジャムセドジーはインド産業振興必要な鉄鋼業を作りました。インド西部の鉄鋼都市のジャムセドプールは彼の名前から来ています。そして航空産業を興しました。これは後に国有化され「インディアンエアー」となっています。そして、ムンバイのインド門に近い「タージマハルホテル」は超豪華ホテルとして有名です。
ムンバイの南端にはTATA文化センターがあり、小ホール、大ホール、オペラ劇場があります。そのオペラ劇場にパルシー出身のズビンメータを招き、イタリアの歌劇場オーケストラ一式を持ってきた格好です。今回チェロのソリストは「ロストロポーヴィッチ」!!!
入場券は非常に高額ですが、昨日と今日の二日間聞きにきて明日も来るという人が何人もいました。ホールは着飾った紳士淑女で埋まっていました。ロビーでたまたま話した観客のひとりは「昨日は8割、今日は9割がパルシーでしょう」といっていました。「おらがズビンの公演」を聞きに着たというよりは、「普通なら、ヨーロッパ、アメリカに行って聞くのだが、今日はここムンバイで味わえる」という感じです。
パルシーは基本的に古くはイラン系であるので色白で西洋人と変りません。今日は殆どの聴衆が「身内」なので、め一杯着飾ってきたと言う感じ。(普段は比較的地味に暮らしている・・・。基本的にムンバイの地域社会に十分配慮しているのです)
一流オケが全力を出して、音響の良いホールで演奏し、聴衆は好きな音楽を楽しんでいる。これは全く別世界です。一歩オペラ劇場を出ると、そこには「物乞い」が多く待ち構えていますが。
前置きはこれくらいにして、音楽について書きます。曲目はヴェルディ「シチリアの夕べ序曲」ドボルザーク「チェロ協奏曲」独奏:ロストロポーヴィッチ
ブラームス「交響曲第一番」。
アンコール:フィガロの結婚序曲(どこかの国の結婚祝いとか)、スラブ舞曲第5番。一曲目のヴェルディ序曲から会場は既にイタリアの雰囲気です。序曲が次に始まるオペラへの興味をそそるような響きなのです。とくに管楽器と打楽器(シンバル・バスドラ)の軽快さ、趣味の良さ、弦楽器の暖かい響きは格別です。
こういうオケで、イタリアオペラが聴けたら最高だろうなという始まりなのです。「運命の力」でも「椿姫」でも筋は悲しい話なのだけど、こういう音で聞くと、何か客観視できるというか、悲しい話を「オペラで楽しむのですよ」と教えられる感じかな。
[5]続きを読む
04月10日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る