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Kenの日記
by Ken
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■レスピーギのローマ三部作
松の木の影が、カタコンベ(初期キリスト教徒の地下墓地)への入り口を象っている。地下の深みから悲痛に満ちた詩篇の調べが聞こえてくる。それは厳粛な賛歌のように辺りを漂い、次第にそして神秘的に消えていく。
第3曲「ジャニコロの丘の松」
大気が揺らぐ。ジャニコロの丘の松は満月の明るい光に照らされ、くっきりと姿を浮かび上がらせて立ち、ナイチンゲール(夜鶯)が啼く。
第4曲「アッピア街道の松」
アッピア街道の霧深い夜明け。孤高の松は不思議な光景を見守る。静かに絶え間なく、尽きることのない足音のリズムが聞こえる。詩人は過ぎ去りし栄光の幻影を見る。トランペットが鳴り響き、新たに昇る太陽の輝きの中、執政官の軍隊は神聖街道を勢いよく進み、勝ちてカンピドリオの丘に登る。
追記
「祭り」2曲目の「モンテ・マリオ」は「ヴィア・フランチジェナ Via Francigena」と呼ばれるイングランドのカンタベリーからフランス、スイスのアルプス山脈を越えてローマを結ぶ約2000Kmにも及ぶ巡礼路の終点だそうです。バチカン北方にあるモンテマリオの丘からはバチカンのサンピエトロ寺院の大きなキューポラを見ることができるのだそうです。
「祭り」3曲目の「カステリ・ロマーニ」はローマ南東にある広陵地帯で白ワインの名産地だそうです。毎年10月には収穫を感謝する「オットブラテ(収穫祭)」が行われるのだそうです。
「噴水」の舞台はローマ中心部に集中しています。一曲目「ジュリア谷の噴水」はボルゲーゼ公園内にあるようですが場所は特定できないとのこと。公園北西にヴィラ・ジュリア博物館辺りの噴水ではないでしょうか。二曲目「トリトンの噴水」はボルゲーゼ公園の南のベルベリーニ広場にあります。3曲目の「トレビの噴水」はトリトン噴水の直ぐ近くです。そして4曲目の「メディチ荘」はボルゲーゼ公園の南端です。4か所の「噴水」の舞台はレスピーギが校長を務めたサンタ・チェチーリア音楽院の直ぐ近くです。「噴水」は「夜明け」「朝」「昼」「黄昏」と場所に加えて一日の印象的な時間帯の変化を表現しています。レスピーギは何度も「噴水」を訪れて時間帯別の雰囲気を感じ取ったのだと思います。
「松」では各地の「松」が証人として立ち会ってきた各地の歴史・雰囲気が表現されています。「カタコンベ」はアッピア街道の最終ゲートにある「サン・セバスティアーノ聖堂」のカタコンブからイメージされたようです。第3曲「ジャニコロ」はローマ西部のジャニコロの丘から見える満月だと思います。東に広がるローマ市街にくっきり浮かぶ「満月」は素晴らしい眺めだと思います。「夜泣き鶯」の声は夜の平安を感じ取ることができます。
05月01日(火)
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