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日刊・知的ぐうたら生活
by schazzie
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■「更新情報」変更&「BOOK PLUS」新刊情報
これまでの更新情報(メインサイト)のブログが非常に重たくて、閲覧も投稿も思うようにいかず、かなりストレスになっていたので取り替えた。ログインするたびに「危険」のサインが出てたし。

ブログ形式のものは、どこもだいたい重たいのだが、前のよりはましだろう。ライブドアのブログも、重たい、重たいと文句を言っていたら、以前より改善されたみたいだけど、気のせいだろうか?

<新・更新情報>


リチャード・フォードの『銀の森の少年』を読み終えた。それなりに面白く読めたとは思うが、やはりどうしても「指輪」と比較してしまうので、それに比べると穴が目立つ。

第一に、主人公ナブが危険な冒険をする必然性がない。「指輪」のほうは、指輪戦争のもとである力の指輪を「滅びの山」の火口に投げ入れなければ、冥王サウロンに世界は滅ばされてしまうので、どうしてもそこまで行かなくてはならない。

それだって、大鷲の王、風早彦グワイヒアが途中まででも運んでやればいいのになどと思うくらいなのだが、こちらは3つの「論理の種」を集めればすむわけだから、何もいたいけな少年少女や動物が、危険な旅をしなくてもいいじゃないかと思ってしまうのだ。いくら神に選ばれた少年だと言っても、種を持っている力のある3人の王(森、海、山)が、少年のところに来たっておかしくはないだろうに・・・。

などと考えてしまうと話は成り立たなくなるのだが、こんなふうに納得できない部分は多い。そういう点で言うと、「指輪」には穴がない。本当によく考えられ、詳細に作られていると、また新たに感心する。

それと、「指輪」の世界はトールキンの作り出したオリジナルの世界で、文明もまだそれほど発達していない。だから剣や弓、手作りの武器で戦うのもわかるし、不思議なものや生き物がいても、何の疑問もない。

しかし、『銀の森の少年』のほうは、車も走っているし、銃もある。ナブと生涯添い遂げることになっている少女ベスは、ジーンズまではいている。そして、作者は明らかに「地球」であると断言しているから、現在に近いこの地球上の出来事ということになる。

すると地球を作ったとされる善王アシュガロスは全知全能の神で、悪王ドレアグは悪魔か?と、妙に宗教的になってしまうので良くない。もっとも悪魔というのは、もともと天使であったわけだから、神とは同等にはならないのだが。

けれども太古の地球の話は、ほとんどキリスト教的で、何ら新しいところがない。ドレアグという存在が、「指輪」のサウロンのようなものとすれば、旧約聖書と『指輪物語』の合体といったところだろうか。

『指輪物語』を引き合いに出すのはフェアではないかもしれないが、どう見ても「指輪」を意識しているとしか思えないし、トールキンが「指輪」のベースにしたケルト神話なども含まれているようだから、比べたくなるのも無理のない話なのだ。

何よりまいったのは、作者が動物や自然が好きというわけで、そうした描写が異常に多いこと。自然の美しさは、どれだけ書いても言い尽くせないものがあるとは思うが、これはファンタジーであると同時に冒険小説でもあるわけだから、いちいちそれを語っていたのでは、なかなか先に進まない。そういった自然の描写が減ったなら、あっという間に終わってしまう冒険談だ。一方で、そうした描写が詩的で美しいとも言えるのではあるけれど。

ところで、ひとつ疑問がある。ここまで動物や自然を美化し、人間を悪役にしたからには、作者はベジタリアンなんでしょうね?ちなみに、動物の友だちになれる良い人間は「エルドロン」といい、これもまた「指輪」に登場する裂け谷のエルフ「エルロンド」のアナグラムかと・・・。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『銀の森の少年』/リチャード・フォード
文庫: 480 p ; 出版社: 新潮社 ; ISBN: 4102461019 ; (1995/06)
内容(「BOOK」データベースより)

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