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日刊・知的ぐうたら生活
by schazzie
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■原文で味わう新しいアメリカの短編小説(20)─青山南さんに握手してもらうの巻
◆「原文で味わう新しいアメリカの短編小説」講座第20回(最終回)
テキスト:「The Enormous Radio」(リンク先で全文が読めます)/John Cheever

<1912-1982>
現在の若いアメリカの短編作家に多大な影響を与えた、戦後アメリカの短編小説の代表的な作家。戦後の短編作家のリーダー的な存在としては、チーヴァーのほかに、バーナード・マラマッド、フラナリー・オコナーがいる。

※画像は『The John Cheever Audio Collection』
この中で、メリル・ストリープが今日のテキストの「The Enormous Radio」を朗読している。授業の最後に聴かせてもらったが、素晴らしかった。
株の暴落によって家が破産、父親は行方不明になるという不幸に見舞われる。もともとは裕福な家に生まれ、プレップスクール(私立の名門大学に入るための高校)に入学。17歳の時にタバコを吸って、プレップスクールを退学になるが、すぐにそれを小説に書き、事実上のデビューを果たす。

1930年代の大不況時代に、ルーズベルト大統領のニューディール政策の一環として、仕事のない作家や演劇家たちを援助するため、アメリカの主要都市のガイドブックを作らせた。その時チーヴァーは、ニューヨークについて書いた。

1930年代のなかばから亡くなるまで、「The New Yorker」誌に原稿を書いており、「The New Yorker」の顔となる。ここでは、ニューヨークに住む(または「The New Yorker」の購読者)アッパー・ミドルクラスを対象に、彼らを楽しませる作品を書かなくてはいけないし、またそういったものを書いてくれと頼まれるため、いわば「The New Yorker」誌のご用作家といった状況。ほかにジョン・アップダイクなどもいたが、最も積極的にその仕事に取り組んでいたのがチーヴァーであった。その結果、正当な評価がされず、「ニューヨークの風俗作家」であると皮肉を言われることにもなる。

1978年に『The Stories of John Cheever』を出版。ここにはそれまでに書いた短編の中から、選りすぐりの60数編が収録されており、この本の出版により、ピューリッツァ賞と全米図書賞の両賞を受賞。チーヴァーの作品に対する評価が一気に高まった。この4年後に亡くなったが、その時チーヴァーは、生まれて初めての栄光の絶頂にあった。作品に描かれている古き良きニューヨークの風情が、最近になってまた人気が出てきた。風俗小説と馬鹿にされてきたものが、逆に今、受け入れられている。

今日のテキストには、1940年代後半の事柄がたくさん出てきて、当時の様子をリアルに伝えている。まだテレビが出現していない時期、ラジオから聞こえてくる世間のさまざまな出来事(そのラジオからは普通の放送ではなく、隣近所や知り合いの家の様子が聞こえてくるという設定)に、お嬢さん育ちで世間知らずの主人公が引き込まれていく。それによって彼女の世界を見る目が変わってきて、どんどん不安になっていく様子が描かれている。チーヴァーの作品の中でも、名作中の名作である。

●参考サイト
<John Cheever Links>
<Personal Best: The Swimmer> by Michael Chabon
<American Story>


----------講座を終えて

最初に考えていたよりもずっと大変な授業で、「早稲田の校歌を歌いたい」とか、「憧れの青山南先生」などという生半可な気持ちは、早々に吹き飛んでしまった。「憧れの青山南先生」は、真面目で厳しい(と私は思う)先生だった。おかげさまで、この1年間は非常に充実した1年となり、いろいろと大変な思いもしたけれど、私の中で大きな財産となって残った。先生の文学に対する真摯な姿勢、それを生徒に伝えようとする先生の熱い思いが、ひしひしと伝わってきて、毎回感激もしていた。憧れの先生の目を引こうと小細工をしていたことが、この日記を読まれた先生にバレてしまったのは、いまだに赤面なのだが。(^^;


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12月11日(木)
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