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日刊・知的ぐうたら生活
by schazzie
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■ホワイトデー
言い古された言葉かもしれない。だが、タイラーらしい繊細な筆致と多彩な登場人物が堪能できるこの小説世界には、実にぴたりとくる言葉だ。
本書には、「ポピー」のほかにも「ノーノー」「ビディー」「ミンフー」など、甘ったるい名前の人物が次々と登場する。へたをすると、嫌気がさした読者が逃げ出しかねないところだが、さすがはタイラー、そこらへんのさじ加減は絶妙だ。
ともかく、ベテラン作家タイラーの手慣れた筆さばきが間違いなく楽しめる小説だ。登場人物もクセ者ぞろいでいかにもタイラーらしい。「皆が、落ちぶれても昔の体面を保とうとする土地柄のボルチモア」といういかにもありがちな舞台設定さえ、タイラーの魔法にかかるとかえって新鮮に思えてくる。
本書は、人の心をつかんで離さない小説だ。レベッカの言葉を借りれば、まさに「生きていくってどういうことかをつづった記録」なのだ。おまけに、その「記録」の仕方が的を射ているからよけいにたまらない。
03月14日(火)
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