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日刊・知的ぐうたら生活
by schazzie
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■『エデンの東』
だからこの物語は、ある部分では宗教的で、かつ哲学的でもある。それは『The Secret Life of Bees』でも同様で、その部分はもしかしたら日本人にはあまり馴染めない部分かもしれないが、非常に大事な部分だと思う。

さて、この『エデンの東』だが、ジェームス・ディーン主演の映画『エデンの東』のアロンとキャルの話は、原作のわずか4分の1である。物語は、アロンとキャルの両親であるアダムとキャシー、アダムの兄弟であるチャールズ、さらにその両親であるサイラス・トラスクとアリス・トラスクまで遡り、そこにトラスク家に深く関わるサミュエル・ハミルトンの一家の物語が重なる。また、トラスク家の召使として長年仕えるリーという中国人(生まれも育ちもアメリカだが)の人生も関わってくる。そして、サミュエル・ハミルトンの娘オリーブの息子が、ジョン・スタインベックなのである。これは、スタインベックが自ら語った、彼の周辺の物語なのだ。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『エデンの東(下)』/ジョン・スタインベック (著), 土屋 政雄 (訳)
単行本: 493 p ; サイズ(cm): 20
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4152086335 ; 新訳版 版 下 巻 (2005/04/21)
内容(「BOOK」データベースより)
父と子の葛藤はなぜ繰り返されるのか?人間の自由な心とは何か?瑞々しい新訳で蘇るスタインベック文学の集大成。

妻キャシーが家を去り、失意の深い底に沈んだアダム。懸命な中国人の召使リーによってトラスク家の生活は守られていたが、アダムの心は楽園への夢から遠く離れ、生まれてきた双子さえ目に入らないまま長い年月が過ぎた。だがやがて、自らの死期を悟ったサミュエルは、凍てついた友人の心を絶望から救うためキャシーの邪悪な真実を明かしてしまう・・・。

一方、双子は父親の愛なく思春期を迎えた。愛らしく純真なアロンとひねくれ者のキャル。町育ちの美しい少女アブラと仲睦まじくなっていくアロンを横目に、孤独なキャルは自分でも分からない何かを探し求め、深夜の街を徘徊しはじめる──

07月19日(火)
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