ID:83698
日刊・知的ぐうたら生活
by schazzie
[362855hit]

■作家リスト終了&『嵐が丘』
 一八〇一年──いましがた、大家に挨拶をして戻ったところだ。今後めんどうな近所づきあいがあるとすれば、このお方ぐらいだろう。さても、うるわしの郷ではないか!イングランド広しといえど、世の喧騒からこうもみごとに離れた住処を選べようとは思えない。人間嫌いには、まさにうってつけの楽園──しかもヒースクリフ氏とわたしは、この荒涼たる世界を分かち合うにぴったりの組み合わせときている。たいした御仁だよ、あれは!わたしが馬で乗りつけると、あの人の黒い目はうさん臭げに眉の奥へひっこみ、わたしが名乗れば、その指は握手のひとつも惜しむかのように、チョッキのさらに奥深くへきっぱりと隠れてしまった。そんなようすを目にしたわたしが親しみを覚えたとは、あちらは思いもよらなかったろう。
「ヒースクリフさんですね?」わたしは云った。
 ひとつうべなったのが、返答がわりだ。
「ロックウッドです、このたびお宅を借りることになりました──着いてなるべく早いうちに参上しましたのも、ご機嫌うかがいかたがたなのです。僕がぜひ鶫の辻のお屋敷をお借りしたいとがんばったものだから、それがご迷惑になったのではないかと。なんでも、きのう耳にしたところによれば、もとよりいろいろとお考えがあったとか・・・」
「鶫の辻はわたしの持ち物だからな」かの人はしかめ面で、こちらの言葉をさえぎった。「わたしが迷惑と思えば、どちら様にもお引取り願っているところだ。まあ、入れ!」


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

新訳・『嵐が丘』/エミリー・ブロンテ (著), 鴻巣 友季子
文庫: 707 p ; サイズ(cm): 16
出版社: 新潮社 ; ISBN: 410209704X ; (2003/06)

07月22日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る