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エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■慌てんぼうのサンタクロース。
「ボクねえ、クリスマスプレゼントは『妖怪ウォッチ3 スキヤキ』がいいんだ!」
息子・タク(11才)が騒いでいたので慌てた。やばい。クリスマスはもう来週なのに全然用意してなかった。娘・Rが産まれて13年、タクが生まれて11年、未だにサンタがプレゼントしてくれるという設定でずっとやってきている。
その陰で苦労しているのはだいたい僕で、子供達が欲しいモノが人気過ぎて超品薄で、トイザらスや秋葉原のヨドバシカメラに夜明け前から並んだこともあった。
今思えばなんでそんなに苦労しているのにサンタの手柄にしなければならないのだろうか。いくら名前が「サンタ苦労す」だからといっても納得できなくなってきた。何故素直にパパママからのプレゼントだよってことに出来ないのだろうか。
でも改めて「サンタはウソでーす!」とか言わなくても遠からず察する年頃であろう。あまり悩まないことにした。
とりあえず今年のタクの欲しいモノはどこにでも手に入るので、過去の苦労はしなくて済むようだ。しかしRの欲しいモノを聞いてみたら
「カメラ」
であった。これは悩んだ。カメラといえばまずデジカメであり、デジカメといえば安いものでもそれなりにするだろう。クリスマスプレゼントとしては高過ぎないだろうか。ていうか僕だってミラーレス一眼欲しい。でもそれは7万円とかするのだ。
どうしよう…。子供達が寝静まった後、嫁に相談することにした。
「Rが本当に欲しいのはスマホなのよ」
嫁はそんなことを言った。
「んなもん却下だ」
中一にスマホはまだ早すぎる、というのが僕らツガイの判断である。
「でしょ?スマホがダメならカメラ…ってなったのよ」
「ふーん。自撮りでもしたいんかね」
「でもデジカメも高いよね」
「そうなんだよねー。やっぱ何万もするのはちょっと違うかな…」
さすがに高価すぎるよね、と話したところ
「カメラでいいって言うんなら『写るんです』でいいんじゃない?」
「え、さすがにそれは」
「リバイバルヒットしてるみたいよ」
「いやそれは知ってるけど」
ヒットしてればいいならピコ太郎のアルバムでもプレゼントしたるわい。フィルムじゃなくてデジカメ当たり前の世代だと、撮った写真がすぐプレビュー出来ない、一度シャッターを切ったら消去出来ない、現像するためいちいち写真屋に持って行って、更に数日後に取に行かなければならない、っていうのはかなりウザいしめんどいのではないだろうか。僕だって今更そんなのイヤだ。
「超安いデジカメ調べてみるよ…」
そいういうことになって、日曜日の朝にネットでデジカメのことを調べていたら、
「ねえパパ」
「ひいいい!」
背後からタクに覗き見されていたことに気付かなかった。しまった。Rが欲しいデジカメを調べているとか、さすがにバレバレか…と思ったら
「調べてサンタに教えるんだね?」
とニッコリ。うわー。タク、もう5年生なのだが、まだまだサンタを信じている。可愛いやつである。
ヨドバシとかビックカメラとかヤマダとか主要なオンラインサイトを調べてみたところ1万円ギリギリぐらいのシンプルなデジカメがあって、まあそれくらいなら買ってやってもいいかな…と思ったのだけれども、軒並み在庫なしであった。非常にまずい。
こうなったらダメモトで直接お店に行って探すしかないかな…ってことで慌てて出かけることにした。
「パパはちょっと出かけてきます。よろしく」
嫁は所用で既に出かけていたのでRとタクに留守番を頼むと
「どこ行くの?」
と聞いてくる。
「新宿だよ」
「新宿のどこ行くつもり?」
子供達はしつこく食い下がるので
「風の向くままさ」
ハードボイルド調の答えで煙に巻き、とっとと出かけた。
クリスマス直前の日曜日とはいえ、午前中の新宿のビックカメラはまだ閑散としたものであった。
まずタクの欲しい妖怪ウォッチの3DSソフトは難なくゲット。次にデジカメ売り場に向かうと
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12月21日(水)
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