ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ゆーかーり、おーいし♪
とある夜、子供達が寝ようとしていた頃。

息子・タク(11才)が学校給食の献立表を見ていた。

「えーと、明日は…ゆかりごはん!ヒヤアアアアア!」

いきなり叫び出し、ドドドドバタンとトイレに駆け込んでしまった。

「なんだありゃ」

不思議に思うと

「たっくんはね、ゆかりが嫌いなの」

娘・R(13才)がニヤニヤ笑っていた。

「ゆかり、ってふりかけのゆかりか」

そういえば森川由加里っていたっけな…ショウミーショウミー…とどうでもいいことを思い出しながら、ふりかけのゆかりを頭に思い浮かべた。

僕も嫌いである。ていうかほとんど食わず嫌いに近い。僕が子供の頃、ゆかりは食べたことはおろか見たこともない。栃木には売ってなかったのだろうか。それとも母が意図的に避けていたのだろうか。だから全く知らなかった。

いつどこで、とははっきりとは覚えていないが、社会人になってから初めて見たのではないだろうか。おそらくどこかの定食屋でゆかりが置いてあるのを見て、え、これごはんにかけるやつ?にしてはなんか紫っぽくてキモい、と避けつつも興味半分にちょっとだけごはんにかけてみたらやっぱりダメだったという記憶がぼんやりとある。それ以来二度と口にしようとせず今に至っていると思う。

トイレの水がンジャーと流れ、

「はあ…」

タクがため息をつきながら出て来た。

「タク、ゆかり、嫌いなんか」

「うん。明日の給食がゆううつだよう」

ショボーンとするタク。

「ま、パパも嫌いだが頑張れや。さあ食え♪、残さないで♪、食え〜食え〜♪スーキヤキテーンプーラ♪」

マイケル・ジャクソンの「BEAT IT」をパロったアルヤン・コビックの「EAT IT」を歌いながらタクを励まし、寝かせた。

翌朝、誰よりも遅く起きるとタクが嬉しそうに

「ママがね、パパのお弁当にもゆかり入れてくれたって!」

「えー!」

「パパも頑張って食べようよ!」

「ええー!」

「パパも頑張って食べるんだな、って思うとボクも頑張れると思うんだ」

「お、おう…」

嫁め、聞いてないフリしてしっかり聞いてるんだからなー。ポジティブな気持ちになっているタクの前で、余計なことするなとか文句を言えなくなってしまったではないか。無責任に励ましていたらすんごいブーメランになって返って来たわ…。ブーメラン、ブーメラン、ブーメラン、ブーメラン、きっと♪あなたは戻って来るだろう♪。

そんな西城秀樹の歌を歌いつつ仕事をしていたら昼休み。弁当箱を開けると白飯の上にパッと降りかかっているゆかりがそこにあった。まるで紫の雨のような。まさにパープルレイン。

おそるおそる一口食べてみた。ああ…妙なすっぱさとしょっぱさ、シソの匂い…、その要素、やっぱりいらない…。普通のゴハンが食べたい…。タクもこんな気持ちで食べているのだろうか。タクよ、僕ら、コアラになれたらいいのにね…。

ユーカリ好きだから。なんちて。

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11月01日(火)
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