ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■もうだめ?カンタービレ。
娘・R(9才)と息子・タク(7才)のピアノの発表会があった。
Rは3回目、タクは2回目だが、衣装がキツキツになってしまったということで、買い換えなければならなくなってしまった。もちろんデパートのブランドもんを買えるほどお大尽ではないので、近所のリサイクルショップで調達。
何着かある中でRが選んだのは真っ白のドレスであった。純白の乙女…。
僕はほとんど練習している姿を見てないのだが、あまり順調にはいってなかったようで、ただ当日の朝、嫁が練習させてみたところ、僕でも分かるぐらいスラスラと上手く弾けてしまっており、
「なによー!上手く出来るじゃない!いや、たまたまかも…もうベストプレイが出てしまった…」
などと嫁をどぎまぎさせつつ出発。
タクはいつものお調子者キャラはなりを潜め、かちかちの表情になっていた。
「緊張してるんだ」
さすがに大舞台になるとドキドキするらしい。一方で
「Rは緊張してる?」
と聞いてみたら
「べつに」
こちらは対照的にポヤーンとしていた。さすが頭の中がお花畑のR、こういう時は周りを見えない&読めないだけあって、平常心でいられるのかも。
この日は栃木の母も前日からウチに来ており、一緒に見ることになっていた。いよいよタクの番となり、嫁はビデオを、僕はデジカメを構え、母はその横で見ていた。
舞台の袖から出て来たタクは、まず舞台中央にバミッてあるところでお辞儀をしなければならなかったが、それをすっ飛ばしてピアノの椅子に直行してしまった。
「うわあ…」
思わず溜め息が漏れた僕と嫁。タクは椅子の高さを調整していたスタッフの人に戻されて改めてお辞儀をしていた。
この時、司会者が名前と簡単なプロフィールを読み上げるのだけれども、タクは
「大金持ちになりたいです」
と書いていたらしく、それをそのまんま読まれ、
「うわははは」
ウケを場面ではないにもかかわらず、タクの時だけ笑い声が起こった。後でビデオを見たら嫁の隣に座ってた爺さんの笑い声を思いっきり拾っていたし。

肝心の演奏は、序盤でちょっとつっかえてしまったけれども、中盤からは尻上がりに調子がよくなりラストまで見事な演奏であった。いや、大したもんだ…と目から熱いモノがじわじわと込み上げ…と思ったら
「なんだかさー、涙が出て来ちゃうわー」
母が既に涙をボロボロと流しておった。ち、先越されたわ。母はこの感動をタクにうまく利用され、この後ポケモンカードを5袋も買わされるハメになる。
タクが終わった後、程なくしてRの出番がやって来た。親の欲目もあるけど、真っ白なドレスに身を包んだRがグランドピアノを前にすると、どこぞのお嬢様のような感じになる。タクは大金持ちになりたいと紹介されたが、Rはなんて言われるのやら…と固唾を飲んで見守っていたところ、
「言われなかった!なんでー!」
Rは何故か名前しか呼ばれなかった。司会者にスルーされてしまったようだ。言えないことしか書いてなかったのだろうか…。

そんなヘボいハプニングはあったが、Rは平常心が良かったのか、構えてたこちらが拍子抜けするぐらい危なげなく見事に弾き切った。終わって席を立つと同時に「ニヤー」と笑ったドヤ顔がなんとも嬉しそうだったことよ。
発表会終了後は頑張ったふたりを褒め称え、また、母はちょうど誕生日でもあったため、併せてお祝いの意味を込めてホテルの料亭で会食。ある程度「でもお高いんでしょう?」と覚悟はしていたモノの、やっぱりそんな感じで。
僕はピアノは弾けない代わりに、お値段にちょっと引いてしまったとさ。
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07月20日(土)
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