ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■あじのもとひとまろ。
夜10時頃仕事から帰って来たのに、まだ子供達が起きていた。

息子・タク(7才)が机にかじり付いてエンピツを握っており、それにつられて娘・R(9才)も起きているような状況であった。

「ヤツはとんでもない宿題を忘れていました」

嫁が「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました」みたいな銭形警部口調で言う。嫁の話によると、明日までやらなきゃいけない宿題を寝る直前に思い出したのだという。

「しょーがないなー、お前は、どんな宿題なんだよ」

夜も遅いし、ちょっとぐらいなら手伝ってやろうかな、と思い聞いてみたら意外や意外、1年生の宿題にしては結構レベルの高いものであった。すなわち

「まみむめも、やゆよ、らりるれろ、で始まる5,7,5のはいくをいっこずつ作るんだよォ」

というもの。しかも「冬にちなんだ俳句」じゃなきゃダメだという。これはかなり高度なレベルの宿題である。タクは

「ももたろう 学芸会で ボク主役」

などと、思い付くところからひとつずつ苦しみながら作っていたが、時間はもう10時を大幅に過ぎていた。

「もうやめなさい」

グダグダしているタクを嫁がもう寝るように言った。普通なら起きている時間ではない。これ以上起きているとなると翌日絶対支障が出る。やらなきゃいけない宿題を忘れていたのはタクが悪いのだから

「明日、先生に怒られてこい。早く寝ろ」

そう言ってとっとと布団に入らせた。でも、

「それって、本当に明日までにやってこいって言われたのか?」

たった1日でやるにはあまりにもレベルが高い宿題だったのでそう聞いてみたら

「まあ、本当は全然軽い内容だとか、期限が来週だとか、あるかもしれないけど…」

と嫁。単にタクが聞き違いをしていた、という可能性も充分あるわけで。しかし一方でタクは

「明日までだよぉ」

と言い張るわけで。だったら学校から帰ってすぐやれっつうの!あ、いっこひらめいた。

まっぱだか まぐわうのには 寒い夜

ダメだ。こんなのタクには教えられない…。

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12月14日(金)
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