ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■欲望の勝利
「ママにセブンイレブンでポケモンのカード買ってもらうんだー」

息子・タク(5才)が嬉しそうに僕に報告する。はて、僕だったらつい買ってやりそうになってしまうが、嫁はその辺鉄壁なので、そんな甘やかしをするはずはないのだが。

「ほんとにママが買ってくれるって言ったのか?」

「うんそうだよー」

「実は…」

嫁がバツの悪い感じで説明したところによると、今日の昼間、娘・R(8才)とタクを連れてコンビニに寄ったら

「ポケモンカード買ってえ」

とおねだりされたらしい。

「コンビニでおもちゃ買うとか訳分からないし。しかも店に入って速攻ねだってくるからムカついて」

そのような理由で嫁は有無を言わさず即座に断ったという。

コンビニの次は文具店に向かった。そこでたまたまRのバインダーノートタイプのシール帳用の台紙を見つけた。これはこないだ誕生日プレゼントを買いにトイザらスに行ったときも探したのだが何故かなくて困っていたのである。誕生日プレゼントがシール作成のおもちゃだったため、R曰く、「もうシールを貼る場所がない」とかで…。なので

「あ、やっとあったよ!よかったー」

即座にレジまで持って行って購入。Rも嫁もやっと見付かって良かったね、と喜んでいたが、ふと後ろを見ると

「なんでRちゃんはすぐ買ってもらえてボクは駄目なの…」

半ベソで睨み付けるタクがたたずんでいたんだそうだ。魔太郎ばりにウラミハラサデオクベキカ、とメラメラとした表情が目に浮かぶわ。

「あ、つい買っちゃって…ごめんねー。不公平だよねー」

ずっと探してたものだからつい嬉しくなって…と弁明をし、珍しく嫁が降伏したんだそうだ。そんなわけで今度コンビニに行く時に買ってやるよ、ということになったらしい。

「150円ぐらいだからいいか…」

と嫁は肩を落としていた。無謀なおねだりと分かっていてもとりあえず言い続けたタクの勝利という形となった。僕も見習わなければなるまい。しかしおねだりしてるんだけど…

僕のおねだり、みぎからひだり、なんである。

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08月12日(金)
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