ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■えーと、えーと、エイトエイトエイト
「あのね!Rのたんじょうびまであと10日なのよ!」

どどーんと自分の誕生日が迫っていることをアッピールする娘・R(7才)。そういえばもう8才になってしまうんだなあ…。

「誕生日プレゼントは何がいい?」

全然頭の中になかったのでとりあえず聞いてみたら

「去年の誕生日の時はトイザらスの広告が来たけど今年も来るかな?それ見て決める」

そういうことはすごい覚えているRである。

「別にRちゃんの誕生日に合わせてるわけじゃないから分からんぞ」

感心しつつも来る保証はない、と答えたら

「じゃあ買う時トイザらス連れてって」

ということになった。また、バースデーケーキについても要求があった。去年はいわゆるキャラデコ、すなわちケーキ屋に頼んでプリキュアに出てくるシフォンというキャラの絵を描いてもらったのだった。それを今年もやれと言う。

「今年はこれがいいの」

Rは最近一緒に寝ている「うめ吉」というぬいぐるみを差し出した。これまたマイナーなキャラを…と思ったのでどうせマイナーなら

「ねり丸にしてみたら?」

ねり丸
練馬区が絶賛一押し中で、今や区内の至る所に見られる「ねり丸」というキャラを提案してみた。

「ねり丸ならケーキ屋さんに見本持って行かなくても商店街のあちこちにノボリがあるから大丈夫だぞ!」

と冗談半分で言ったら

「うーん、どーしよっかなー」

真剣に迷ってしまったので慌てた。結局Rの意志を尊重し「うめ吉」に決定。じゃあケーキ屋さんに頼んでくるよ、と出掛けようとすると

「Rも行きたい!」

と付いてきたので一緒に連れて行く。

「試食用のクッキーもらってきて!」

家を出る時嫁が叫んだ。つるセコなヤツめ。そのケーキ屋ではよく「ご自由にどうぞ」とクッキーが置いてあるのだ。さて、ケーキ屋に着いて店員さんに声をかけ、うめ吉のイラストを渡して注文する。

「ローソクは何本おつけしますか?」

「8本で」

と僕が答えた時に、Rが満面の笑みを浮かべたのがまた可愛くてねえ…。

「8才になるから8本なのよ!」

と誇らしげなセリフが顔に書いてあった。僕なんか物心付いた時から年を取ることはすごく怖くて大嫌いだったので、ポジティブで羨ましい。注文は終わった後

「ちょっと待て。試食用のクッキーを…」

嫁の言いつけを忘れたらえらい目に遭うため、Rにヒソヒソとその旨を伝えて店内を探したのだが

「ないねえ」

どうやら今日はないようだった。ああ、嫁にそう言わなければ。忘れたんでしょうとか疑われないといいなあ…。

「たのしみだね〜」

注文が済んだRの帰り道はハイテンションだった。こうして僕にベッタリ付きまとうRは、あと何回誕生日を迎えるまでパパっ子のかなあ…などとスキップするRの後ろ姿は、何かどんどん離れていく逃げ水のように思えた。

年ごとに増えるロウソクの火の数は、親から子への命の喜びを表わす。親が子のバースデーケーキのローソクの火を付ける。多ければ多いほど息災でめでたいのである。

いつまでも僕がローソクの火をつけてやるから、その代わりに僕が死んだら仏壇のロウソクの火をヨロシクね。

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08月03日(水)
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