ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■泳がすつもりが泳がされ
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娘・R(6才)と息子・タク(4才)はスポーツクラブの水泳教室に通っている。
いつもは平日なのだが、ちょっとイレギュラー的に土曜日タクの教室だけあるというので、久しぶりに僕が連れて行くことにした。
「泣くから気をつけてね」
と嫁。「泣く」とは…。親はプールに入れない。更衣室で着替えさせた後
「がんばってこいよー」
とコーチに引き渡すんである。その時にタクは泣いてしまうんだとか。こないだの授業参観でも泣かれたが、親と別れる時に切なくなってしまうようである。
この時も着替えさせるまでは調子がよかったのだが、
「プールの前にトイレ行こうぜ」
一緒にトイレに入ろうとしたら
「いつもはこっちなの!」
タクは女子トイレに入ろうとする。なるほどいつも嫁と一緒だからねえ。
「でもパパは入れないんだよ。男の子なら男の子のトイレ行こうぜー」
「やだ!こっちでおしっこするー」
「ダメだ!男は黙って立ちションだ!」
あくまでも男の放尿にこだわったら「うわあああああん」と泣いてしまった。
しかしもう授業は始まってしまう。泣きながらトイレを済ませていたら
「おやおやたっくんどうしたのー」
コーチが手を引っ張って行ってくれた。幼稚園の登園時もそうなのだけれども、タクは親と離れる瞬間だけナーバスになるので、別に授業自体がいやなわけではない。なので逃げ出したりはせず、ベソかきながら授業を受ける。で、そのうち
「ひゃっほー!」
とかケロッと元気になっているので3歩歩くとなんとやらの頭である。
久しぶりに見るタクの泳ぐ姿は、結構うまくなっていた。水にもぐってジャンプ。あと補助付きではあるがバタ足と背泳ぎ。もう水をほとんど怖がっていない。僕なんか顔を水につけるのもイヤだったのになあ。授業は1時間で終わり、
「よく頑張ったなあ。うまくなったなあ」
単純に感激してしまった僕は、おりしも外は真夏のような暑さだったので
「アイス買ってやろう。ママとR(6才の娘)には内緒ね」
とセブンティーンアイスを買ってしまった。嫁にバレると何勝手に食わせてんのとか怒られそうだし、Rにバレると「たっくんだけずるい」とこれまた怒られそうなので、男と男の秘密である。
「うん。わかった。内緒内緒ね〜」
と言いながらチョコアイスをベロベロなめまくるタクは、既に口の周りがチョコでベッタベタであった。口の周りにまあるいヒゲ。古きよきドロボースタイル。
「うわあ。それじゃバレバレだよ」
とタクの口を拭こうとしたまさにその時。ぴろりーんと嫁からメールが。携帯を開くと
「暑いし、アイスでも食べてくれば?」
ぬおおおおおお!何故ドンピシャなメッセージを!
「どっかで見てるんじゃないだろうなあ…」
僕はタクが泳ぐ姿を見学に来ただけなのに、目だけ泳いでしまったとさ。
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06月15日(火)
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