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エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■夢中遊泳
←クリックしないと枕元にミーのパンツを置くざんす
「明日、水泳教室の体験入学に行くのよ」
「はあ?」
嫁のやることは時に唐突である。娘・R(5才)と息子・タク(3才)をスポーツクラブの水泳教室体験をさせるのだという。聞いてねえYO。
しかしRもタクもプールが大好きなので良いことだと思う。遺伝なのだろうか。僕も学校の水泳の授業は好きであった。尤もプールそのものよりもスクール水着が大好きだったのだけれども。
夜、仕事から帰ってから
「どうだった?」
と嫁に聞いてみた。
「私はプールから離れた控え室から見てたんだけどね…」
「え、それじゃタクが泣かなかったか?」
タクは嫁が一緒にいないとダメである。幼稚園で行なわれていた未就園児のプレ教室では、本来親は別の教室で待っているのだが、タクは嫁がちょっとでも教室を離れようとすると
「ママあああああ!」
と大泣きするため、結局プレ教室が修了するまで嫁が付きっきりであった。クラスの他の子はみんなひとりで大丈夫だったというのに。
あと何日かで幼稚園入園が迫っている中、そんな不安材料がある。そんなタクが水泳教室でひとりで出来るのだろうか、と心配になって嫁に聞いたのである。すると嫁は
「ああ、大泣きしたよ」
やっぱりな答えであった。もうこの世の終わりの如くママママと泣き叫んでいたらしい。しかしタクを必死でなだめていたRである。
「たっくん、Rちゃんがいるから大丈夫よ!」
「たっくん、離れてても大丈夫だからね!」
とタクから離れることなく一生懸命励ましていたのだという。
「ああ、いいお姉ちゃんしていてRは偉いなあ…」
よくタクのイタズラで泣かされていても姉弟であり、Rも姉の自覚があるんだなあ…とつくづくその場で見ていたかったと思う。
「タクも偉いのよ。泣きながらでもちゃんとレッスンは受けてるの。コーチの言うことはちゃんと聞いて運動とかしてるし、コーチの名前も覚えてるの」
普通泣かれてしまうともう暴れるわ逃げるわでレッスンどころではないだろうに、泣きながらではあるけれどもギリギリで堪え、屈伸運動をしたりバタ足をしたりするところを想像すると、タクなりに必死ながらもコミカルな姿が浮かんで笑みがこぼれてしまう。
それでレッスンが終わった後はこれまた泣きながら
「たのしかったああああ!」
と叫んでいたのだそうだ。泣くほど楽しかったのだろう。ちょっと違うか。
「ま、Rもタクも彼らなりに一生懸命頑張ったんだね」
翌朝、ふたりが起きてから
「Rちゃんは偉いねー。タクを励ましてたんだね」
とRを誉めると
「うん、幼稚園もRちゃんが付いてるから大丈夫だよ」
いつの間にこんなに立派になったのだ…。パパ、朝から涙が出てくるよ。そして涙をドバドバ流していたタクは
「たっくんはねえ、泣いてたの。ままー!ままー!って」
自分で自分のモノマネをしてケラケラ笑っておった。もう既にネタにしている…おそろしい子!
「Rちゃんにありがとうって言いなさい!」
「ぎゃははははは!」
このようにドタバタ騒いでいる一方で嫁はアンニュイな表情をしていた。性的に不満でもあるのだろうか。だから昨晩あれほど…と思ったら違った。
「コーチに入会しませんか、って誘われててさあ」
「そりゃそうだろう」
体験入学の目的はソレである。
「なんかね、『Rちゃんは姿勢が良くてバタ足が上手です!筋がいいですからどうですか?』とかさわやかに勧誘してくるのよ〜」
ウチの子には才能がある、と思わせ親バカ心をくすぐらせる作戦である。どんなに長所を見出せなくても「くるぶしがキレイ」とか「足の爪が深爪」とか無理矢理誉めるんだろうなあ…。ただこの作戦は有効である。既に僕らはもう入会する方向に傾いてしまった。
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04月01日(水)
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