ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■老人とホーム
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栃木の実家にいる間に、1年ぶりぐらいになるだろうか、祖母に会って来た。

現在認知症が進んだり諸事情があって介護老人保健施設に入っているのだが、施設のわりとゴージャスな佇まいにしばし見惚れた。

「ばあちゃん、来たよ」

「おー…おー…こんにちは」

僕のことは辛うじて覚えているようであった。

「ひ孫連れてきたよ」

僕が娘・R(3才)を、嫁が息子・タク(10ヶ月)を抱いて見せてやった。タクはガーガー昼寝してしまっていたが、Rは

「ひぃばちゃん…Rです…」

照れながら蚊の泣くような声で自己紹介していた。耳の遠い祖母なので、声は聞こえていないだろうけれども、

「嬉しいねえ。なんだか涙が出ちゃう」

涙を拭っていた。Rの表情を見てくれたのだろうか。嫁には

「この子達をよろしくお願いしますよ」

頭をペコリと下げて、今日は調子がイイ感じの92才であった。耳と認知症の他は、どこも悪いところはないのだそうだ。大したものである。

「じゃ、ばあちゃん元気でね」

別れ際に握手をしたら、ガッシと手を掴まれて

「ああ、この手相は私そっくりだ」

などとやたら手相の薀蓄を披露していた。祖母と別れた後、Rの手を引いて施設の中を少し歩いて

「ああ、あと数十年後は逆に僕がRに手を引かれてこのような施設を歩くのだろうか」

傍らの嫁に話したところ

「何言ってんの。こんな高そうなところ入れる訳ないでしょう」

なんとも無情なことを言うのであった。

「姥捨て山しか残された道はないのかね…」

「大丈夫よ。Rが世話してくれるって」

「そうかな…」

僕の手を握ってこちらを見ているRを見た。

「R、お父さんのおむつを替えてくれるかい?僕がRにしてるように」

「うん」

ニッコリ答えてくれたのが嬉しかった。

おそらく祖母は今日会ったことをすぐ忘れてしまうだろう。Rも「うん」といったことを忘れてしまうだろう。少し悲しいが、僕が覚えておくだけでよいのだと思った。僕が今日のこの記憶をずっと大事に覚えておきたい…そう思った。

帰りの車の中で

「ばあちゃんが、僕の手相のことを色々言っていたよ。運がどうとか…ええと、なんだっけ…」

やばい。もう忘れそうである。
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08月15日(火)
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