ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■嫁とラーメン。
区から娘・Rが生まれた記念に梅の木をもらった。

もらったはいいがアパート暮らしなので植える庭がない。
僕か嫁の実家の庭に植えるしかなさそうである。
嫁と話し合った結果、僕が実家に帰って植えてくることになった。
実家は栃木。重い苗木を担いで3時間。せっかくの休みが…。

でも嫁には言わないけど嫌なことだけではない。
ついでに「佐野ラーメン」を食べてこよう、と思ったのだ。

実家の近くにラーメンで街おこしをしている佐野という市があり、
そこはたくさんのラーメン屋が狂い咲きしている。
故郷の水を使っているせいかもしれないが
僕はどんな種類のラーメンよりも佐野ラーメンが一番好きだ。

しかしとてもマイナーなので東京で食べられる店はなく、
実家に帰った時にしか食べられない。
そもそもRが生まれてからは外食もできなくなってしまい
たまには外でおいしいラーメンでも食べたいね、
などと嫁と話していたのだ。

嫁には悪いが久しぶりに堪能してくるか、
などと考えると億劫な帰郷も楽しみに思えてきた。

「明日、栃木に帰ることにしたよ。かったりいなあ〜」

できるだけ嫌そうに、しょうがねえなあって感じで
嫁に伝えた。嫁は「あらそう」と言ってRにも語りかけた。

「お父さんは明日お出かけするんだって。
 Rちゃんの梅の木を埋めてくれるんですよ。
 でも…たぶん佐野ラーメンも食べてくる気ですよ」

ギャー。ばれてら。嫁は食い物と他の女の臭いには
麻薬犬並みに鋭い。

「待て。君とRを置いて僕だけおいしい思いをするのは
 さすがに良心が痛むよ…」

「え?アナタ、じゃあ…」

「痛むけど、腹いっぱい食ってくるよ」

「鬼!ひどい!私だって食べたいのに!
 Rがいるからお店に行けないのに!」

「まあまあ、お土産に『宇都宮餃子』買ってくるから」

僕はいじけてしまった嫁をなだめすかして愛撫する。
それにしても、ラーメンに餃子にと故郷栃木は
すっかり大衆食堂みたいになってしまった。

ラーメンは伸びない内に、
嫁は腐らない内にいただきましょう。

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アリガトウゴザイマシタ。
11月15日(土)
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