ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■夫婦間戦争も情報戦。
嫁とはなし崩し的に仲直りしたものの、謎がひとつ残っていた。
今回のケンカとなった原因は、
僕のパソコンの中のメールの内容である。
僕のパソコンは、起動する時にパスワードを入力しなければならない。
メールボックスを開く時もパスワード。
そして、開いている時でも何もしないと5分でスクリーンセーバーが起動し、
それを解除するにもパスワードを必要とする。
その厳重体制を嫁はどうやって突破し侵入したか。
それが疑問なのだ。
嫁は知らぬ間にもの凄いハッキング術を身につけているのでは?
ちらっと嫁を観察してみる。
ぶぶぶぶぶ…。
花粉症にやられ、しょっちゅう豪快な音を立てて鼻をかむ。
鼻の周りが真っ赤で哀れな姿だ。
でも、ひょっとしたら嫁はスーパーハッカー。
この情けない姿も僕を油断させる手段なのかもしれない。
時間を置いてもう一度嫁を見てみる。
あ”あ”あ”あ”…。
花粉症に加え、風邪をひいて喉までやられてしまい、
カラスの断末魔みたいな唸り声をあげている。
百年の恋も冷めてしまいそうな惨めな姿だ。
それでも、ひょっとしたら嫁はスーパーハッカー。
脂汗が流れてきた。
このままでは全てが疑心暗鬼になってしまう。
僕は決心して思い切って嫁を問いただした。
「どうやってパソコンの中を見たのか言え」
嫁は少し沈黙を置き、白状した
「…アナタがお風呂入る隙に、見た…」
要はこうだ。
僕はその時パソコンを開いていて、メールボックスも開いていた。
そのうち風呂に入ろうと思ってそのまま席を外した。
何もいじらなければ5分でスクリーンセーバーが動き出すが、
動き出す前の数分間の無防備状態を嫁は見逃さず、さっと見たのだ。
…嫁は甲賀忍者か何かか。
どうせ覗くなら風呂場のほうを覗くべきなんである。
だいたい夫が風呂に入っているのである。
ドアから顔をちょっとだけ出して
「アナタ…ワタシも一緒に入っていい?キャハ☆」
新婚夫婦ならそうすべきだろう。
それなのに…。
生き馬の目を抜くごとく
殺伐とした夫婦生活に明日はあるのだろうか。
03月26日(水)
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