ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■盆ダンス GOES ON!
嫁は保母。
去年の初めまで実家の近くの職場で働いていた。
その以前の職場で「盆踊り」があるから一緒に来て欲しいという。

去年もそう言われて一度行ったことがある。

中央線に乗ってから乗り換え。もう一回乗り換え。
枝毛のそのまた枝毛みたいな単線に乗り、
やっとの思いで駅に着くと、ホームにはひっくり返ったセミが
「ぢぢぢぢ」と断末魔をあげていた。

周りには畑と山しかない真っ暗なところに、
ぽつんと明かりが灯る盆踊り会場。

本当にココは東京かよっというくらいイナカなわけで。

会場では職員達が屋台を出し、子供達はぎゃーぎゃーと走り回り
親達は踊りを踊ってカラオケを熱唱していた。

そこで嫁は職員や子供達やその親達に挨拶して回ってみんなから
「あら久しぶり〜」などと言われ、

僕は嫁を金魚の糞のようについて行って
「ども。旦那です」とヘラヘラ言って、

気が付いたら僕は何故か知らないオバサンに捕まって
しこたま酒を飲まされていた。

酔っ払いながら、実はこの人たちはみんなキツネさんで、
盆踊り会場も実は幻で、酔いがさめたらタダの野っぱらなんじゃないか…
とすら思うほど、僕にとってはよくわからんイベントだったのだが…。

去年は結婚したてだったので、顔見せの意味もあったのだろうが
今年は一人で行けばいいのに、
そう思ったが何故か嫁がしおらしく頼んで来るので断れず、結局同行した。

今年も去年と同じことの繰り返し。
しかし、人に会う度に必ず言われたことがあった。

「子供はまだ?」

職員も、親達も、そして子供達でさえ

「子供とっとと作りなさいよ〜」

と言う。

この人達は嫁が流産したことを知らない。
ほんの挨拶代わりに言ってるのに過ぎないのだろうが
さすがに少し堪えた。

嫁も笑顔を保ちつつも「ま…まあね」と答えるのが精一杯のようだった。
おそらく嫁はコレが辛いので一緒に来て欲しかったのだ、と思った。

そんな中で一人だけ違うことを言って来た子がいた。
去年も会ったことある中学生の女の子。

「おにいちゃん、また変なTシャツ着てる」

そう女の子が指差した僕のTシャツには、
金色の字ででっかく



と書かれたもので…なんでこんなもん着てきたんだろ、自分。

そして、去年はどんなの着てきたんだっけ…。

「シャア専用」だっけか「店長呼んで来い」だっけか
「ジャイアンリサイタル」だっけか「テクノチック」だっけか…。

よく覚えてるなあ。

08月18日(日)
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