ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■へばりつくもの。
夜、家に帰ってくると、外壁に必ずヤモリが一匹へばりついている。

僕が通りかかるとすぐにサササーっと逃げてしまうのだが
だんだん可愛らしく思うようになっていった。

僕はこのヤモリを「ヤモリ進一」と密かに名付けた。
(「ヤモリ美幸」も捨てがたかったが)

ある日。いつものように夜に帰ってくると
ヤモリは2匹いた。

僕が通りかかると彼らはまるでじゃれあうかのように
くるくると回りながら物陰に隠れていった。

ヤモリ進一は恋人を見つけたのだろうか。

またある日、嫁と一緒に出掛けて夜戻ってくると、
ヤモリは一匹だけだったが、いた。

「あ!ヤモリだ!ヤモリ!いつもいるよね!」

カブトムシを見つけた子供のように嫁が叫んだ。
嫁もどうやらよく見かけているようだった。

「時々、2匹いるの知ってる?恋人同士みたいに」

僕は得意げに嫁に言ったのだが

「うっそお〜。いないよ〜」

あからさまに否定されてしまった。

「僕らも仲睦まじげな彼らのようにありたいものだね」

というふうに話を持っていきたかったのに。
趣のない嫁であることよ。

ちなみにヤモリ進一のパートナーは、

「ヤモリ昌子」と名付けた。

(「ヤモリ光子」も捨てがたかったが)
08月13日(火)
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