ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■コインいっこいれる。
女の子もキャイキャイと借りてたりして。なんか、非常に危険な光景に見えてしまうのは僕だけだろうか。彼が育てたいのは本当にゲームの中のアイドルなのだろうか。それとも…。
「きも」
タクはひとことだけそっと呟いていた。ああ口に出して言っちゃったよ。気が付くとタクはもう200円分のゲームを終えてしまっていた。
「じゃ、帰るか」
「ん…」
タクは物足りなさそうであった。いつもは何人も並んでいて長い時間待たされるが、他の子がやっているゲームを見たり、一緒に並んでいる子とすぐ仲良くなってワイワイ情報交換をしたりトレッタの貸し借りをしたりするのも楽しみのウチのようだ。
今日はそれがなくアッサリ終わってしまったので物足りないのだろう…。しかし約束は約束なのでキッチリ200円で終わらすのが正しいのだろう。しかししかしタクの気持ちも分からないでもないのと、僕もせっかくひと駅先くんだりまで来てものの10分で帰るというのもトンボ返り過ぎる、と思い、
「じゃ、ほれ。ママとRちゃんには内緒だぞ」
つい100円出してやってしまった…。
「やったー!」
タクは大喜びでもう1回だけゲームスタート。なんかちょっとレアなトレッタが取れたようで更に喜んでいた。
「いいか、ママに言ったら怒られるし、Rちゃんに言ったら『たっくんだけ100円ずるい』って言われるから絶対内緒だぞ」
「わかってるわかってる」
そんな話をしながら家に帰った。タクは早速Rにどんなトレッタが取れたかをしゃべり始めた。あれだけ口止めしたからまさか言わないよね…と聞き耳を立てていたら
「内緒の話、言っちゃおっかなー」
「おいこら」
タクを睨み付けたがアフターカーニバル。覆水盆にスピルトミルク。ホントに人がいったことを右から左へ受け流す男だなコイツは!
「えっ。内緒ってなあに!」
当然Rも厳しく聞いてくるよなあ。ただRは基本頭の中がお花畑なので、なんとか誤魔化すことが出来たが…。タクには絶対内緒話は出来ないと思った。Rがいなかったら波平ばりに怒鳴っていたことだろう。
ポケモーンじゃなくてバカモーンである。
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03月05日(火)
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