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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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羽田空港へ、ガトーよこはまスティックチーズケーキを買いに。昨日はキースジャレットのことを悪く言い過ぎた。めぐミルクで食べよう。反省する。









中村匠一さんFB

マイフレンドの音楽ライター益子博之さんがホットな新譜をチョイスして、多田雅範さんとのトークを展開するイベント、通称「タダマス」。先日の日曜も参加させていただきました。このイベントも「いーぐる」を経てこの「喫茶茶会記」へと移り、もう5年目を迎えるということで、お二方の鋭い感性と衰えぬ探究心には心から敬意を表するしかありません。今回は、ドラム・パーカッション奏者の山本達久さんをお迎えして、これまで以上に刺激に富んだトークが展開された、そう思います。

この日は、山本さんの何気ない言葉から、茶会記のメインスピーカー=アルテックとグッドマンのユニットを組み合わせたもの のサランネットを外して数々のディスクを試聴してみたのですが、より音がダイレクトになる分、その音を「作った過程」のようなものも浮き彫りになる感覚がありました。その音を受けて山本さんが発した言葉の数々、例えば「何でこんなにコンプ(コンプレッサー)やリバーブかけてしまうんですかね。」というような言葉が自分にも鮮烈な記憶として残りましたね。

例えば、前作の「Shadow Theater」で凄いインパクトを受けて、益子さん、そして島根から上京されたジャズ仲間の横田さんと一緒にコットン・クラブでのライブを聴いて、そこでもノックアウトされたアルメニアのピアニスト、ティグラン・ハマシアンの新譜などは、私も期待していただけに「え?これが?」という意外さ、もっと言えばハシゴを外されたような違和感がありました。

そこには、自分がライブで聴いた時の彼のピアニズム=凶暴さと紙一重の叩きつけるような左手のダイナミズムと、リリカルで透き通った右手のタッチ、そして浮遊感に満ちたヴォイスが織り成す、広大で、荒涼とした、でもどこか懐かしさと哀愁を感じる音景色、そんな匂いが希薄だったんです。有体に言ってしまうと「随分平坦な音楽になってしまったなあ」という感じですかね。そこにはあのライブで見た一つ一つの音の「落差」によるスリルが感じられず、スムーズではあるけれどちょっとセカセカした音楽だけが流れていた。「滝」を見て感動したつもりが、今度見た景色はただの「急流」に過ぎなかった。例えて言えばそうなりましょうか。なので、山本さんがこのアルバムを聴いた後「こんなに大勢のミュージシャンが集まって音を作っているとは思えなかった、これなら打ち込みで良いかも」と思わず漏らされたのも、私は納得の思いで頷いてしまいました。

勿論1トラックだけ聴いて断言するのは危険ではあり、もしかしたら、今回はティグラン自身、音楽作りや録音手法なども含めて、また違った一面を出そうと試みている可能性も大なわけです。確かに今はネットも発達して、様々な音楽をリアルタイムで聴くことも出来る。録音技術も進歩して、ライブでは出せない音を自由に作り出す事も出来る。でも、その「制約がないこと」が、ミュージシャンにとって、音楽を創作していく上で全面的にプラスなのか、というのは私にもまだわからないところがあります。私達リスナーって、「この人はこんな音楽も出来るんだ」という驚きも感じたいと同時に、「この音楽はこの人しか出来ないよね」というワン・アンド・オンリーのような世界も感じたい、という我侭な面もありますよね。その二つは時として相反する事もある。ことに後者に関しては「制約がない」環境において、どれだけ「自分として譲れないもの」を持ち続けられるか、これは中々難しい命題なのかもしれません。音楽に限らず、人が「アート」として自分を表現するもの全てに言える事かも。


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04月27日(月)
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