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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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■エリソ・ヴィルサラーゼ@すみだトリフォニー
錦糸町から見上げるスカイツリー、と、こないだ見下ろした錦糸町。
エリソ・ヴィルサラーゼ
モーツァルト/ドゥゼードの「ジュリ」の「リゾンは眠った」による9つの変奏曲 ハ長調 K.264(315d)
ブラームス/ピアノ・ソナタ第1番 ハ長調 作品1
ハイドン/アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Hob.XVII:6
シューマン/交響的練習曲 作品13
戦後クラシックの黄金期を彩った大御所たちの一端に触れた。スタインウェイを鳴らすとはこういう演奏だということがわかりました!ラダメス師。ほら、ゲルバーは体重でガツンガツンこう弾けと教育的指導をするようなベートーヴェンだったことを憶えているけど。
これが基準で最高値なのだ。モーツァルトらしいモーツァルトはいらない。しっかりと重力を鍵盤に伝えて輪郭をくっきりと歌う。スイングさえしているように自在だ。シューマン弾きというのもうなずける、これ以上が望めないような質感をたたえていた。
こういう例えは適切ではないがキース・ジャレットの最初のソロの1曲目「イン・フロント」を高度にした感じだ。
シフやピリスの現代最高峰のピアノのラインは、無重力とタッチの軽やかさと響きの透明さだから、まったく別のジャンルのように思える。ピアノが違うか。
「音楽の抑揚が大きく、呼吸も深いのですが、一音一音の輪郭が非常に鮮明で、特にトリルの響きの美しさときたら、正に純白の真珠を思わせるような透明感と光沢、そして気品に満ちあふれたものでした。」(中村匠一さん)
歓びとスタンディング・オヴェイションに涌いたすみだトリフォニーホール。
「エリソ・ヴィルサラーゼ ピアノ・リサイタル」は、3/21(金)19:30〜21:10 NHK-FM「ベストオブクラシック」で放送されます。
アンコールはシューマン/『森の情景』より「予言の鳥」、「献呈」(リスト編)、ショパン/『2つのワルツ』より変イ長調「告別」、「華麗なる大円舞曲」の4曲。
★
大地と灯台 ― エリソ・ヴィルサラーゼのリサイタルに寄せて
青澤隆明(あおさわ たかあきら/音楽評論)
エリソ・ヴィルサラーゼ。その名前は畏敬を籠めて、ひとつの護符のように、あるいは魔法の呪文のように、人々の心に唱えられてきたのではないだろうか。誇り高きロシア・ピアニズムの良心として、濃密な情念と直観を貫く強烈な演奏表現者として、厳格な教育者として、エリソ・ヴィルサラーゼは現代のピアニストのなかでも独特の存在感を示していた。
いまわずかに過去形で記したのは、東京で実演に触れる機会がしばらく途切れていたからで、その分の歳月が彼女独自のピアノ芸術にどう影響したか、それを生々しく体験できるのが、多くの聴衆が長らく待望してきたこの度のリサイタルになる。初来日は1970年だが、リヒテル・ファミリーの偉才という言葉とともに日本で改めて女史の魅力が紹介されたのは1993年から、95年、99年、2003年、06年と世紀をまたいだ来訪だった。オール・ショパン、モーツァルトとシューベルトでのリサイタルや、ナターリャ・グートマンとのデュオ、テミルカーノフとのチャイコフスキーの協奏曲なども鮮やかな記憶を残している。
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02月03日(月)
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