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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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■福島恵一さんのディスクレビュー2012年1〜3月A+4〜6月@


いちばん大きいのがおれ。みんな立派なおいちゃんおばちゃんになってる。

わたしの金属器打音フェチは、アルプススタインのカウベルの響きや、福島恵一さんが連続講演で鳴り響かせたアトス山のヨーロッパの黒土(くろつち)、空海の真言密教系の寺の儀式、などで・・・強化されていったというより内なる発見であったような気がしているが。

汽車のレール音響やマイケルピサロのJuly Mountainみたいなのは、もう避暑地に出かけたり、渓流のほとりを歩いたり(息子はこけてずぶぬれになったそうだが)、温泉につかったり、北海道のソフトクリームを食べるように、即座に快楽に変換されて聴こえてしまうのである。

福島恵一さんのディスクレビューが更新されている。

それぞれに試聴できるようにサイトが案内されている。

「うつらうつらとした夢うつつのうちに気がつくともう遠く通り過ぎている夜汽車の踏み切りや、鳴り終わってから気づく階下の大時計の打刻鳴鐘、とうに灯明を消したはずの仏間から漂ってくる香の匂い」
「演奏は列車の轟音(重みを持ちながら乾いたいい音だ)に掻き消されながら、それに対抗するのでなく、かと言って伴奏するのでもなく、そのまま受け入れ、共存し、後をじっと見送る」
「持続音は緩やかに上下しながら交錯し、ゆっくりと引き延ばされ波打つ時間が、船酔いするような幻惑的なうねりをつくりだす」
「どこか古びたジュークボックスから流れるオールディズのヒット・パレードにも似た、頭の芯が痺れるような甘美さをたたえている(実際に街頭にポップスが流れる瞬間もある)。と同時に環境音もまたセピア色の絵葉書のように、切ない記憶のひとコマとして甘やかに浮かび上がる」

わたしも相当な記述形容フェチなのだけど、仏間から漂ってくる香の匂い、後をじっと見送る、頭の芯が痺れるような甘美さ、・・・あたりなど、聴く前から畳にツメを立てるような気持ちにさせられる。

恵一兄さんはこのおれの耳のためにオススメを並べてくれているのではないかと思った。

吉本隆明『真贋』で優れた作品は読者に「自分だけがこれをわかっている」という気持ちにさせる性質を備えているというくだりがある。

むかしはあれだねーひとの声とかひとが手足で動かした楽器で鳴らした音が絶対王政で君臨していたサウンドだけを音楽と名指していた時代だったんだね、福島さんというひとは一歩先に進んでいたんだね、ねえ、ひーおじいちゃんとわたしの曾孫がこのブログをチェックして仏前に手を合わせて言うのだろう。
08月15日(水)
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