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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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■オン・ブロードウェイ vol.5 / ポール・モチアン Trio2000+Two
今回はベースがトーマス・モーガン、サックスがローレン・スティルマンというトリオで、菊地雅章とマイケル・アティアスが客演扱いという布陣のトリオ+2である。なんでトリオ+2などと名乗るのか。すべてクインテットでの演奏ではないか!野暮を言うのはやめよう、これはオトナの立ち位置についてのちょっとした知恵だ。凶暴な野獣のようなプーをトリオ本体に据えてみろ、このトリオ+2という形式だから力学は調和する。それでなくても、現在のプーの表現圧力は生涯最高潮にある。菊池雅章名義のCDは全部持っているが、本人には悪いが昔の代表作より今の演奏のほうがいい。

今回は2サックスということだ。サックスを複数立たせるというと、モチアンにとってのエレクトリック・ビバップ・バンドもあるが、あちらはブレンドされる音の生命体のようなゆらぎがキモである。こちらは対位法的な相互関係を含めてのクインテットではあるが、なかなかどうしてブレンド感もなかなかのものだ。モチアンとプーさん以外の3にんは知名度的にはまだまだだけども、いやー、3にんともいい。新しい才能を選ぶモチアンの慧眼もそうだけど、ニューヨークのミュージシャンの層の厚さを思わされる。

4曲目の「I See Your Face Before Me」なんかのウタゴコロ、スタンダード・ナンバーの料理仕方もたまんないなー。ひりひりするくらい瑞々しいくせして、深くて。音楽って、どこまでも行けて、深くて、すごいよ。こう、聴いてて、さ、笑みがこぼれてきてしまって、涙がでてきてしまって、どうしてこういうジャズの謎?切ないねえ。5曲目も・・・。


(蛇足)

こんなんこと書いてもしょーがないんだけど、おれさ、今朝、ジャレットのスタンダーズ『マイ・フーリッシュ・ハート』なんか聴いてしまって、まじ、吐き気がしてたんですよ。スタンダーズはいちおうリアルタイムで聴いてきていて、『スティル・ライブ』と『ウィスパー・ノット』があればいいと思っている。おれ、ジャレットのファンだと自負してる。『スティル・ライブ』で演っていた「ソング・イズ・ユー」のイントロなんて夢にみるくらいに好きだ。その「ソング・イズ・ユー」が『マイ・フーリッシュ・ハート』にも入っていたのだけど、そこでも耐えられない・・・。げろげろげろ。耳の、過剰摂取によるアレルギーという現象を想定してもいいのかもしれない。が。当のジャレットはこの『マイ・フーリッシュ・ハート』という作品について、特別な2001年のライブを発表の機会をうかがっていたと書いている。なに言ってんだこのおやじ。

でまー、ピアノトリオというフォーマット自体に、ジャズは飽いておると思われる昨今なのか。

だいたいテザート・ムーンという表現の地平をみせつけられていて、ジャレットやメルドーのピアノトリオとその亜流というマーケットを温存して甘やかしているだけのおれたちリスナーが悪いと思わないか?菊地雅章のピアノはワンオブゼムではない。老い先みじかいモチアンが彼を手放さない理由だってそこにあるだろ。

同じピアノトリオでアントニオ・ファラオのパゾリーニに捧ぐ。ファラオのピアノ自体はどうでもよくって、ヴィトウスの暴力団の用心棒めいた、ザヴィヌル死して後出しじゃんけんウエザーリポートヴィジョン(ユニバーサルシンコペーション2のこと)で仇討ちを果たしたベースの存在感と、それにじつにいい距離感を保てるユメール御大のタイコ、が、なかなかいい。パゾリーニに捧げられるような演奏だとは思えないけど。

たとえばさ、ジャレットがこういうヴィトウスとユメールと演るという賭博に身を晒すならば、それはそれなりにジャズを体現していると思える。『ウィスパー・ノット』作ったんだから、あとはすっぱりやめていいじゃないか。ジャズが到達するのは一瞬なの。ハッキリ言っていい?じじいのせんずり見せつけあいショウにおれたちはついてゆけない。なんなんだこの不健康な強迫観念は。ジャレットとウイントンは、その態度においておれには大差ないと思うんだな。


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04月08日(水)
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