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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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■『カウンターカレント / 日野=菊地クインテット』 投稿追加テキスト
くりかえすが、これは聴かれなければならない。メソッドとして確立されたジャズの方程式を安易に適用しただけのジャズ演奏ばかりがリリースされている現状にあって、ジャズが孕む謎を保持するような演奏をしかしたくない5にんが残した録音として。日野=菊地クインテットの現在というのは、単純ではない。


(追記 1)
ソニーの宣伝文を読んでおこう。

伝説の二人が軽佻浮薄の世相に一石を投じる問題作にして極限のアート!
2007年、日野皓正と菊地雅章の新たな伝説。ともに日本を代表する芸術家であり、音楽家として深い信頼を寄せ合う盟友が、今また手を結ぶ。1968年に『日野=菊地クインテット』を録音、以後も互いの作品に参加するなど交流を続けてきたが、双頭クインテットとしての共同制作は95年のリユニオン作品(スイングジャーナル誌のジャズ・ディスク大賞で金賞受賞)以来実に12年ぶり。超硬派真正ジャズでひたすら即興の奥義を探求、シーンに一石を投じる。削ぎ落とされ、研ぎ澄まされた精緻なインタープレイ。無駄な音は一音たりとも存在せず、圧倒的なまでに高次元での音楽的対話が息を呑む美しさで交錯する。静謐な中にもジャズが本来持つ生命力とダイナミズムが横溢、モチアンの老練なドラミングと若手ふたりのサポートも光る。判りやすさ・手軽さの対極にあるその世界観はまさに"問題作"と呼ぶにふさわしいが、一見難解ながらもいつしか聴く者の深部において魂を静かに癒す。安易に流れがちな世相に対する「逆流 (Counter Current)」となろうとも…音楽の本質を求める求道者たちの極限のアートがここに誕生。 【タイアップ】スイングジャーナル選定ゴールドディスク第7期90弾

へええ。95年の『アコースティック・ブギ』はSJディスク大賞金賞を取っていたのか。プーさんにブギと言われたら、もうすさまじい走りを見せるピアノなのは確定的だ。実際、ジェームス・ジナス(ベース)のピック・アップは大成功だった。このサウンドが、実に90年代っぽい。ミドル級ボクサーのようなグレッグ・オズビーが瑞々しいアドリブを披露している。菊地のピアノも走っているし、日野のペットも一体となってはじけていて、このリズム隊と合わせてすきのないサウンドが完成している。この、90年代らしさ、という感覚、は、そのまま放置しておく(大きなテーマだ)。

おれがジナスの才能に唸ったのはピアノ・トリオでの『Feel You / 菊地雅章トリオ』のほうだったが、廃盤とは惜しい、惜しすぎる。ジナスはその後、小曽根真トリオに入って、小曽根をワンランクアップさせて育んだのは、おれはライブで聴いて確認している。

『アコースティック・ブギ』は悪くない作品だと思う、レベルは高い、しかし、一度聴くと飽きる。飽きていい、とも思う。それで、この作品の翌年96年に発表された彼らのライブ盤『モメント』、こっちのほうが数段良い。95年8月の東京ブルーノートでのライブ。『アコースティック・ブギ』の曲を演っているが、18分30秒の「サマー・ミスト」なぞ怖くなるくらいにいい。不穏だ。ジャズの不穏とはこういうブギだ。18分、23分、9分の4曲収録。ライブ全体を収録して2枚組でリリースする男気が東芝EMIには無い、情けないことだ。でも、4曲67分の至福が遺されているだけでもリスナーは感謝しなければならない。

で、なに、『モメント』のほうは無冠の作品なのか?こっちのライブ盤のほうが後世に残るに相応しい出来であるのに。しかし、わかりやすいよな、レコード会社とジャズ専門誌のゼニと思惑の流れは、よ。


(追記 2)
日野皓正の今年の興味深いインタビューがあった。
■ 【連載】PIT INNその歴史とミュージシャンたち − 第6回:日野皓正さんが語る「ピットイン」の真の姿<前編>
■ 【連載】PIT INNその歴史とミュージシャンたち − 第7回:日野皓正さんが語る「ピットイン」の真の姿<後編>

なんという日野の吹っ切れ具合。“「ヒノはマイルスの真似だな。もう最悪」とか言われたなあ(笑)。本当にそうなんだけどね。”なんて、言うんだ。そう回顧できる現在の自信はただならぬ。


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03月11日(水)
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