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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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■Hirai Youichi Lennie Tristano to Gabor Szabo Too Cool Jazz Project ライブ@新宿ピット・イン
   昭和を彩った日本のジャズ界の大御所たちが(名前挙げたろか?)その黎明期にこぞって世話になった(精神的にも物質的にも)という“ドクター・ジャズ”こと内田修先生(もちろん清水俊彦先生ともまぶダチである)が末次編集長に「彼らのこと、知ってる?」と耳打ちしたのが発端であった。中央線フリージャズの魔窟ライブハウスである高円寺某店マスターも彼らのライブに通っているという。現在の日本ジャズシーンのビックネームの幾人かは彼にトリスターノの譜面を譲ってもらってもいるというほとんど知られていない事実も記しておこう。わかりますかね、彼の注目され具合とか価値のアタリとかは。平井庸一、ギタリスト、33歳。わたしは平井庸一の名をジャズ批評誌で連載されていたマンガ……タイトル失念……ウニヨンやすけこまし大学生やこんどるのマスターやレコード制作会社やジャズ批評社が爆破されてしまうというアブナイ展開を描いて連載の降板を早めたという……の作者として驚いたものであるが。最近は執筆のほうでもギター雑誌にジミー・ヘンドリックスについての分析や、CDレヴューなども手がけているようだ。
 
   彼のバンドの紹介は、こないだ私はこう書いた。
 
   『この日本の地で「トリスターノ+変拍子」「コニッツ〜マーシュ」を旨とする甘美な探求に身を投じている若者たち、何と豪奢で悦楽的であることか、である平井庸一率いるその名もクール・ジャズ(Cool Jazz)、まさにフロント2管の橋爪亮輔と増田ひろ美は21世紀のガルバレクとマーシュである!』
 
   え? なんでヤン・ガルバレクとウォーン・マーシュなのか。
 
   ……橋爪亮輔はバークリーに留学した(マーク・ターナーとも知り合いらしい)俊英であり、彼が名刺代わりに制作した自主制作CD-Rリーダー作を聴かせてもらったことがあるが、これがECMの縮図のような多楽器志向な小アンサンブルを駆使したトータル・アルバムで、ガルバレク好きであることがストレートに聴けるものだったからだ。おそらく初期のガルバレクが持つ硬質で冷たいアグレッシブさへと彼は向かうだろう、その過程で彼の「声」が明確になるだろう。
 
   ……増田ひろ美は甘美でありながら強い芯のあるサックスを聴かせる。それをマーシュにもあった「こだわり」感とも親和性が高いと直感的に断ずる。それは彼女が同じサンリオでありながら“反キティ”を標榜し徹底してケロケロケロッピにこだわるところにも表れている。これはキャラ好きのジム・ブラックや新曲でキキララとのコラボレーションを果たしたトミフェブ川瀬智子などと通ずる現代の表現者ならではの挿話である。
 
   で、わたしはここに縁台を用意して宣誓するように力説したい。彼のバンド「クール・ジャズ」の衝撃は2ベース+1タイコの、わたしが末次編集長に呼び出された編成による、ベースが2台ちがう拍子のラインを刻み、タイコがどちらかにつねにスイッチし続け、そこで2サックスが揺れ惑い、平井のギターが刻印しつづけるサウンドこそが素晴らしい、と。キャッチフレーズはこうだ。
 
   ここには、クールに格闘しながら、失敗も冒険も瞬時に未曾有のサウンドの沸騰状態に置かれてしまうという「発明」があると思う。
 
  (2003年5月13日)

  <追記>

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