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Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review @ Tokyo
by Niseko-Rossy Pi-Pikoe
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■ポール・ブレイを聴いた・「私」が「私」に影響を受け、より「私」になっていく(藤井郷子)、ということ
『Alone, Again solo piano』のライナーを書いているのは、ピアニストであり自己のオーケストラを率いる作曲家の藤井郷子さん。藤井さんはポール・ブレイに音楽を教わっている。音楽理論や演奏法を教わったのではなかったという。
ブレイは藤井に「レッスン代を払って先生に習うよりは録音代を払って自分の音楽を録音して聴く方がはるかに勉強になる」と助言している。
ほとんどの先生たちは、できないことを練習しろと言い、できないことを指摘した。
ブレイは藤井に、できることを指摘した。
そして、
「私」が「私」に影響を受け、より「私」になっていくというプロセスがはっきりと感じられた、と、藤井は書いている。
「私」が「私」に影響を受け、より「私」になっていくこと。
ぼくはこのフレーズにぐっときた。
そして何度となく『Alone, Again solo piano』を部屋のオーディオから響かせながら、
その音楽がぼくの意識を開いてゆくのを感じる。
そういうふうにぼくは『Alone, Again solo piano』にふたたび出会った。
▼
株式会社Musik<ムジーク>のサイトで今井正弘さんが、この作品について書いている部分を引用しておきます。
孤独よ、再び
19世紀初頭のパリ、厭世感を漂わせた酒、
アブサンを愛飲した作家や詩人たちが横行し
たという。その思考を奪う甘美な酒は、
自殺者まで出したために製造を禁止されたが、
それはやがて穏やかに解禁された。
そんな歴史の中のストーリーを思い起こさせるのが、
ポール・ブレイのピアノ・ソロ『アローン、アゲイン』だ。
この優れたタイトルの作品は、時に『オープン、トゥ・ラヴ』
と並び称されることがあるが、ブレイというピアニスト
とじっくり付き合って人ならば、この2作に共通するのは、
共にソロ・アルバムだということぐらいだ
ということに気付いているはず。
シングル・トーンが、メロディラインが、
というようなことを『アローン、アゲイン』の前に
出すのはナンセンスだ。
ここでのピアノの響きはリリックなのだ。
ひたすら彼にまつわる二人の女性ピアニスト/
コンポーザーの作品を使って“孤独を模索”しているのだ。
何度も何度も。
あの薬草たっぷりの個性的な酒、アブサンが人を
彼岸に誘うならば、この『アローン、アゲイン』も、また…。
懐には笑いと、衝動と、孤独を忍ばせて歩いていたい。と
書いたのは誰だったか?
二人からの孤独、再びの孤独、ピアニストは静かにだが、
一心不乱に弾いた。
あのアブサンにも通じる作品が再び世に解き放たれた。
01月13日(火)
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