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羽積風narration
by 汐 楓菜
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■クリームソーダは甘過ぎた
約束の日。お父さんと会った。
ある程度覚悟はしていたけれど父は老けていて、待ち合わせ場所
を通り過ぎそうになった。
三年ぶりぐらいだと思うのだけれど、かなり風貌が変わっている
ように思えた。あー…今になってよくよく数えれば六年ぶり、か。
それでも父は、やっぱり私の父だという感じがした。なんとなく。
母親と以前、数年ぶりに会ったときは、もう精神が病んでいて目
が死んでいて別人になっていた。
あれは私の知っているあの母だとは思えなかったし、もう怖くて
目を合わせることができなかった。私の知らない人。
父と喫茶店に入った。
私は少し迷い、子供の頃に好きだったクリームソーダを注文した。
逆に、父の前では飲んだこともないようなものにしようかどうかと、
少し迷ったのだ。
父は案の定、「あぁ…子供の頃から好きやったもんなぁ」と感慨
深げに言った。「(この子はあの頃と変わっていない)」と思った
だろうか。本当はいろいろ変わってしまっているのだけれど。今の
私が父にできることは、それぐらいだ。
父は、「今年60になったから年金が貰えるようになった」と言い、
私は軽く眩暈を覚えた。もう、そんな歳に…。
もうちょっと待ってくれないか?お父さん。私にはまだまだ、や
りたいことがあるんだ。−もうそれも、私の我侭なのかもしれない。
結局用件は、また最近転職したからその書類に書く保証人になっ
てくれ…ということだけで、再婚話でもなんでもなかった。相手が
誰であれ、俺は結婚には向いていなかった…と言っていた。結婚後
の生活の仕方や、結婚相手のことではなく、結婚したことそのもの
を後悔していた。だから私にも、結婚しろしろとは言わない。ただ、
孫の顔を見ることはないんだな…ということを一度だけ呟いた。
軽くご飯を食べて、父と別れた。
帰り、地元の駅を降りてスーパーへ行った。
主婦に紛れながらあのカゴを抱えて店内をうろうろしつつ、ふと
「こういう生活も悪くないかもしれないな…」と感じた自分が本当
なのか嘘なのかわからなくなって、走り去りたかった。
06月15日(日)
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