ID:73064
かなしいうわさ
by 石井
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■509
酩酊しています。
今日も今日とて忙しかった。



そんな疲れた日の帰り道はわびしくさびしい。心の芯が疲れでドロドロと固まった状態。濁って、淀んで、にこごりのようにつめたく固まってしまっている感じ。そんな日の帰り道、ホテホテと歩きながら聴く、とっておきの音楽を俺はいくつか持っている。景気のいい音楽ではないけれど、落ち切った心がじわじわとあたたまり、疲れのにこごりが溶けていくような音楽。





Ry Cooder /Boomer's Story

溶ける溶ける。ゆったりとぬくい一曲目からじんわりとにこごりが溶けていく。つかれた体と心にちょうどいいテンポでするするとすべっていくスライドギターのインストの2曲目。ゆるいレゲエのようなテンポでずいずいと進みながら「おではチキンパイが好きだあよぅ」とつぶやく3曲目。この3曲目くらいで既に足取りも軽くなっている。以下ずらずらと並ぶ絶妙なぬくさの曲たちを聴きながら家のドアを開ける頃には、にこごりはすっかりと溶けているという按配。




John Sebastian /Tarzana Kid

ラヴィン・スプーンフル解散後、74年の作品。冒頭のジミー・クリフのカバー「Sitting in Limbo」からしてゆるりゆるゆる。やらかくあたたかいギターと唄の波に揺られて、にこごりがじわじわとやらかくなる。つるりとした可愛い2曲目に続いて、リトル・フィートの「Dixie Chicken」をゆるーんとカバーした3曲目で、焼きたての食パンにのせたバターみたいに、にこごりがだらぁっと溶けきっていく。
あ、これもライクーダー絡みだな。ブエナビスタ関連もにこごり溶けるよな。ライやるなぁ。





Jolly Brothers /Concious Man

リー・ペリー仕事のなかでもいちばん愛している作品。リーせんせいの適度なもやもやダブ処理、素直できれいなメロディ、やわらかなコーラス。同系列でHeptonesの「Party Time」というド名盤があるが、あれより断然良い! もう聴く度にとろけてしまうのだけど、そのトロケ具合は甘茶ソウルのようなエロエロでトロトロ、というのではなく、一日のにこごりを溶かすのに丁度良い生まじめさのあるピシっとしたぬくさなのが良いんだな。
問題は一寸入手しにくいこと...少し前にCDで出てたんだけど今は廃盤のよう。





憂歌団 /LIVE AT KUBOKODO 1981

リラックスするということはただ力を抜くことでも、馴れてしまってドキドキが無くなることでも無いということを、良質なブルースは教えてくれる。このアルバムは上に挙げた4枚のアルバムよりも幾分ホットだ。本当にでろっでろに疲れている時はホットな音楽は心が負けてしまって聴けやしないものだけど、これならいける。1曲目からがなりまくる「嫌んなった」で既にええ按配に。リラックスしまくった観客の声もあいまって、にこごりもじゅんじゅんと溶けてゆき、Disc2の「君といつまでも」に到った頃には「しやわせだなはあ〜、しぬまできみをはなさないぞっ」なんて一緒に呟いてしまう。憂歌団のライブ盤は「生聞59分」等々どれも甲乙付けがたいけど、コレが一番溶ける。






まだまだあるけどまた今度。というかこれに似たことを以前書いたことがある気がしてきた。まぁいいよな。




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01月30日(月)
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