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かなしいうわさ
by 石井
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■フジロック感想文 初日その2
さて、今年のフジ、最大のお目当てのひとつであるイルリメ@苗場食堂
開演が近づき客も集まり、満員のライブ会場のような状態。
後ろからはレッドマーキーからの4つ打ちの低音がボイーンボイーン。ステージには食堂に居座った呑んだくれ共がベロンベロン。 夏祭りそのもの。さぁ来い!
アイ来たイルリメ登場。DJミキサーに繋いだCDウォークマンのスタートボタンをPUSHして流れてきたのはガンズのWelcome To The Jungle
イルリメは玩具の刀を嘗め回し振り回しながら客をアジり、決めのフレーズだけ合唱ナナナナナナナニーッ(´ー`)ニーーーッ
つかみは100点、この時点で客は総立ち&総笑いでキャッホキャッホ
その後も他人のCDかけてラップするだけ×2連発、やら、客にMPC叩かせてセッションセッション、とか
本編ラストの「イルリメNo.5」では、CDかけたと思ったら即ダイブ。客に胴上げされながらステージに戻り、ステージ壊すんじゃないか
という勢いで暴れ、木に登り、玩具の刀を振り回し、またダイブ。胴上げ。皆が笑っていた。こんなに皆が良い顔してるライブなんて......





おれが今まで観てきたなかで一番良いライブだったかというと、確実にそんなことはない。つうかヒドいよね。
でも、今まで観てきたなかで一番愉しいライブだった。
音楽ビジネスにおいて、こんなに真っ直ぐな「サービス精神」に触れたのは生まれて始めてだ。
サービス精神なんて言うと、ロックの世界とやらではあまり良い意味に使われていないかもしれない。でもイルリメの考えてるサービス精神はコビ売るとかそういうつまらんチマチマしたものでは全くなくって。
人を楽しませる心意気。自分の子供をみつめて童謡うたう母ちゃんと同じなんだ。それが、自分の子供じゃなくて沢山の客に向けられてる。そして確かな音楽でそれが赤の他人の客に届きまくっている。あまりにもまっすぐ、あまりにも邪念なく、あまりにもあまりにもすがすがしく、ひとつの事だけを目指している、楽しんでくれ、とにかく楽しんでくれ、楽しくて楽しくてこの瞬間が生きる意味そのものになってしまう位に楽しんでくれ!!! だって皆がそうなったら俺が楽しいねん!!!!!!!!!と。
そのサービス精神のなかにはロックが声高に叫んできたものが実は全部あるでしょ。シド・ビシャスとかそんなんも全部あるでしょ。つうかそれしかないでしょ。エンターテイメントはロック。エンターテイメントがロック。イルリメは今年のフジのなかで間違いなく一番にロックしていた。

ああ全然言葉が足りない、1/100も伝えられていない、あなたがあの場所に居れたら良かったのにね。
アンコールで演られた「トリミング」のサビがこれを書きながら頭をグルグル巡る。

見せておきたい景色がずっと募って
写真じゃ切り取り切れないから
話せば白々しくなるから
連れて行きたい気持ちになります


いい曲でしょう、いい歌詞だよね
気持ちこもってるよね
日本語のラップってここまでできるんだ
もうリリック全部載せたる






だから
それは
滅多に見せない仕草 
絶対使わない言い草
一回だけちらつかせた 
きっと何時も隠して来た
「失敗したく無いから・・・」と指先で空に書いたけど
反対から読む私は、裏に希望有る証拠でしょ、と
喉まで出たから風に任せ
あなたの片方の肩の臆病を弾こうと
揺さぶって突っついて押し出せば
落ち着いて此方には振り向かず気を取られ
たらたらと道草を食いながら上向きで歩いていける
さっきまで引きずっていた爪先が草を跨ぐ
赤く腫れた目蓋の中が青く晴れた空を見つめ
「泣いて無いです。」と、言ったから
緩んで潤んだ水面は最後の滴が静かに落ち
蒸気となって雲に交わる
常に胸に秘めていた
既に蓋を閉じていた
輪郭線だけの風景画
運命が自然と色を灯す
強気の瞬きが次々と景色のコマを進めていく

見せておきたい景色がずっと募って
写真じゃ切り取り切れないから
話せば白々しくなるから
連れて行きたい気持ちになります

直ぐにも影響受けやすくて

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08月09日(木)
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