ID:73064
かなしいうわさ
by 石井
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■492
次は、タイのModern DogというバンドのヴォーカリストPod。すごく良かった。甘い声を張り裂けんばかりにふりしぼって、カタコトの日本語で歌う。フィッシュマンズのセンチメンタルな部分が出ている「Baby Blue」と「なんてったの」を、甘い声のPodくんに歌わせたのはNice Choiceだった。すごくはまっていた。とくにBaby Blueはせつなさが増幅されていてずっぱまり。「スマイリン・デイズ」が途中でもにゃもにゃと英語になっちゃってるのもなんか良かった。本人、すごく緊張してたみたいで、それを欣ちゃんが必死にMCでフォローしてるのも微笑ましい。
Modern Dogというバンドは、Zakがエンジニアをしているようだ。音源はまったく聴いた事なかったけど、この日のライブを観て俄然興味が湧いてきた。タイでのライブの模様を観ても楽しそうだねえ。ディスコグラフィが全く読めないが(´ー`) いちばん新しいやつを買ってみようと思う。

次は、蔡くん@ボノボ。これも良かったなあ。クリカンがやってるルパンを彷彿とさせたり... とはいえ、ただのマネっ子では当然無い。声質や歌い方は似ているけれど、佐藤が言葉を練り上げてとろけさせる感じなのに比べて、蔡くんのほうが言葉をピシっと言い放って、断言する感じ。それがなかなか格好良い。今回の新たな発見。「MELODY」〜「感謝(驚)」の流れが良かった。「感謝」はフィッシュマンズの大ファンである蔡くんの思いがギューと込められているのが伝わってくる熱唱だった。演奏もホットで盛り上がる。

次は、ポコペン@さかな。「気分はコール天」という初期のミニアルバムに収録されていた佳曲「むらさきの空から」からスタート。フィッシュマンズっぽくないほっこりジャジーな感じでカバー。これが滅茶苦茶良かった。佐藤が作る曲のなかでも、やさしさとしみったれた感じがあけすけに出ているこの曲に、ポコペンの凛としたヴォーカルとアレンジの妙が合わさり、新しい魅力が引き出されていた。これだよ、俺がこのライブに求めていたものは! 「コール天」から引き続き初期の名曲「あの娘が眠ってる」をやってくれたのも良かったな。その後に自作のみじかい詩を朗読。一寸ウルっときた。

続くはUA。いままでの人たちも良かったけど、UAは別格だ。あれ、この曲ってもともとUAの曲だったっけ?と思ってしまうくらい、自分に引き寄せて、自分のものとして歌っていた。「新しい人」も良かったけど「頼りない天使」は凄かった。トリビュートアルバムに入っていたバージョンよりも断然良かった。
ちょっと変な話だけど
■「なんて不思議な話だろう/世界の真ん中で/僕が頼りだなんてね」(フィッシュマンズ『頼りない天使』)。これは恋愛の歌ではない。育児の歌である。俺はそう聴いた。いつまで続くのかは分からないが、子供は俺を頼りにしており、俺はそのことを頼りに生きている。何て不思議な話だろう。「あの子は僕に言うさ/天使は今来ますって/ほんとさ ウソじゃないんだよ/未来は ねえ 明るいって/あの子の信じた確かな気持ちは/きっと僕を変えるだろう/なんて素敵な話だろう/こんな確かなことが/今もそばにあるなんて」。
これまた戸田さんの日記の9/25日ぶんの引用なんだけど
このこと思い出してしまって、ああ、なんていい歌なんだ、本当にすごい歌だ、なんて不思議な話だろう?! と思って、ヒクヒク言いながら号泣してしまった。これは佐藤のフィッシュマンズじゃなくて新しいフィッシュマンズだなあ、と心から思えたひととき。


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11月27日(日)
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