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by k
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■日暮れのストレンジランド。
昨夜つけたままのラジオから秦の歌声が最後の記憶。
だいぶ夜を更かしてしまった。
昼起き。布団の中から父に電話など。おめでと。

テレビでブランチ、コーヒー、洗濯、掃除機かけ。
土曜のルーチンワーク。
のろのろと過ごすうちに日が暮れていく。

やっと、火曜日に買ってきたCDの封を開ける。
GRAPEVINEの1年半ぶりオリジナルアルバム真昼のストレンジランド。

静かに滑りだすオープニングに
例年通りの安定感を覚えたのは束の間のことだった
1曲目のSilverado 途中で身体を起こして座り直すほど
なんか違う。これは。

曲の時間も短いんだけど、今までと比べて詞の量も少ない
いわゆるサビのリフレインも少ない。
とてもシンプルな構成の曲たち
広く空いた行間には練られた音がきっちりと詰められている。

今まで新しいアルバムを聴くときは
一回では飲み込めなくて、すぐに何度もリピートすることはなかった。
今回初めて、すぐさま3周まるっと聴いた。聴けた。
全部が全部聴き心地のよい単純な曲ばかりじゃない
のに、じゃあこの乾いていくような爽快感はなんなんだ。

ストレンジランド。ここではないどこか。

遠い国のような、古典文学のような、未来への手紙のような
物語を静かに一枚ずつめくりながら、
ノスタルジックもサイケデリックも味わって旅をする。

インストがメインの10曲目夏の逆襲から
ラスト2曲のクライマックスがたまらない。
最後は現在地へ還りつく。あたたかな光のような余韻。

長田さんがプロデュースを始めて
作曲GRAPEVINEというバンド名義で作ってきたこの数年
いろんなことを試して、いろんな道を歩いて
ようやく拓けた、辿り着いた場所がここなんじゃないかと
長くこのバンドを聴き続けた一人として
このアルバムの持った物語に、そんなことを重ね合わせてしまう。

清水さんが書いていた「1本の物語に結晶したGRAPEVINE」
その言葉が的確に表していると思う。

世界を変えてしまうかもしれない。

聴いた初日でこんなことを思う日がくるなんて思わなかった。
鮮やかに裏切られた気持ち。しあわせ。
01月22日(土)
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