ID:70753
えすぱっ子
by ひかる。
[1244438hit]

■プリンス東海 津工業高校戦
 ペレが「何人もドリブルで抜いたと思ったら、ファウルで倒され、再び自分の前に壁ができる。FKの時の壁は禁止すべきだ」と話す記事を読んだことがあるが、この日の前田なら両手をあげて賛同することだろう。足下にボールを収めて前へ加速することに成功したら、前田をファウルなしで止めることは不可能だった。しかし、パスが前田に入った瞬間を狙おうにも、この浮き球の魔術師は予測もできない位置にトラップで持ち出し、時間と空間の自由を得てしまう。周囲を動かす長短のパスも出せるし、実際出していたが、追う展開となって独善的なまでの局面打開力を発揮していた。この頭抜けていた存在に敢えて苦言を呈するとすれば、シュートの正確性。その卓越した足技と比較した際の、相対的な評価ではあるが。
 深澤慶は「移動要塞」といったイメージで、チームが前掛かりになるにつれて前へ前へポジションを上げ、高い位置で素早い寄せを見せ、低い位置からでも繋ごうとする津工のパス回しを許さなかった。体の使い方がとても上手く、自分の体をボールと相手の間に入れ込んで奪い、奪った後は巧みなターンを駆使してボールを相手から遠ざけてキープ。連続攻撃を可能にしていた。前田との連携が最も良かったのは成田。縦への速さという動きの分かりやすさだけでなく、77分に見せたような足下のテクニックを使ったコンビネーションで相手を惑わすプレーもできていた。戦術面では持ち味のサイド突破からの質の高いクロスと合わせて、サイドチェンジの狙いも良く、その左足を駆使して攻撃に幅を作っていた。

05月03日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る