ID:70753
えすぱっ子
by ひかる。
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■プリンス東海 帝京可児高校戦
後半、大榎監督は佐野傑に代えて成田を投入。同じ攻撃的レフティながら、右サイドからドリブルにパスを交えてビルドアップに加わっていた佐野傑に対し、成田は単独突破を得意とする縦への推進力が長けた選手。成田はパスをスペースで受けるべく、前半の佐野傑・杉山より高い位置をとる。すると48分、成田の上がったスペースに飛び出た可児・熊崎が、カバーに入ったCB望月恭と巧みに体を入れ替えて突破、スピードに乗るがCB小澤が鋭いタックルでドリブルを潰し、熊崎はサイドにこぼれたボールを右クロスに持ち込むが、中央で合わない。50分にも熊崎のキープから、その外を回ったCH門間が右クロスを入れるなど、生憎、清水の望んだ展開ではないが、試合は動き出す。そして、54分、この時間帯目立っていた前田の前目での攻撃参加から右CKを得ると、稲毛がジャンプ一番、ヘッドで先制! 柏でもSBながらパワープレー要員になっていた稲毛、そのフィジカルを見せつけた。
清水は60分、FW鍋田を投入。鍋田は65分、RB深澤諄のスペースへの長い縦パスをライン際で残し、そこからドリブルで戻って右30度から25Mミドル。際どいコースに飛んだシュートはGK渡辺が左CKに逃れた。対する可児も62分、10番・藤盛をRHに投入。160cmと小柄ながら確実な足下の技術と豊富な運動量を誇る藤盛は、仕事場をサイドに限定せず、頻繁に各所で顔を出してキープしては前へサイドへ素早く繋ぎ、試合を動かしていく。66分、中盤中央に位置した藤盛からPA内への速い縦パス、足下に収めたFW熊崎が抜け出しかかるが、CB小澤が倒れながら強引に体を入れて食い止める。そこに藤盛が飛び出し、勢いのままシュートを放つが、左ポストが同点ゴールを阻んだ。嫌な予感が漂うが67分、直後の長島のキックから鍋田が決定力を見せて、2−0。突き放した。
同点後の69分、CH田代のクサビをRH前田が受けると追い越した柴原へ縦パス、更に前田が右から柴原を追い越してパスを受けると角度のない位置からシュート、更に76分にも前田のドリブルから田代がミドルを放つ。清水も勢いに乗り、途中投入の成田・田代・西澤が前への積極性を見せ、勢いに乗った。けれども、どちらかと言うと前半のように、中盤でじっくり繋ぐのが得意のリズムな清水。疲労した中盤は互いの距離が短くなり、また卓越したキープ力で周囲の上がりを待つ前田もFWに上がったため、ショートパスが繋がらなくなる。大榎監督は深澤慶と組むCHを前田→田代→西澤と頻繁に代えていったが、この日はむしろ味方を混乱させてしまったかもしれない。一方の可児は、その深澤慶と上がり目の成田の間のスペースで藤盛が起点を作り、藤盛の空けた右スペースにRB山岡やFWに上がった熊崎が流れることで、主導権を握っていく。最終盤は可児の一方的な攻勢となったが、CB2枚を中心とした体を張った守りで何とか逃げ切った。
鍋田の決定力は相変わらず錆び付いていなかった。ゴール前で自分の得意の角度に持ち込む「シュートまでの形」が洗練されている。怪我で離脱している間にすくすくと背丈も伸び、元々動き出しの良さは折り紙付きなだけに、179cmの小木曽、182cmの原田を相手にしても、すっとDFラインから離れて清水第八からの僚友、長島のゴールキックを巧く頭で擦らしていた。同じ清水第八からの僚友、青木のスペースへのパスと畑のスペースへの飛び出しを組み合わせた攻撃を早く見てみたい。フィールドを大きく使ったサッカーが見られそうだ。得点後は観客席に向かって吠えてみせるなど、洗練されたプレースタイルとは対照的に、相変わらず「熱い」。
望月恭からはDFとしての経験値を感じられた。味方のミスに対して速やかにカバーできるポジションをとっており、実際にミスが生じたときの反応が速い。周囲だけでなく、自らのミスにも落ち込むことなく、素早く立て直す。中盤がショートパスを多用していただけに、望月恭と小澤は最終ラインからの司令塔としての機能も担っていた。その小澤は望月恭とは逆に、つまらないポカが時折散見されるものの、力強いフィジカルを武器にプレーレベルの最高値が高い。スピードに乗った深いタックルで、スピードに乗った相手からボールを奪えるあたりが、現代的DFの風格を漂わせる。
06月28日(土)
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