ID:70753
えすぱっ子
by ひかる。
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■プリンス東海 藤枝明誠高校戦
 前半は一進一退の攻防が続いた。明誠は前節の橘のように自分たちのスタイルに拘るというのがなく、サッカーを勉強していて戦術的な応用力がある印象。CH辻の状況判断が良く、FWは長身の安東の回りをキープ力のある原口がよく動いてパスを引き出す。両サイドはスピードがあり、SBは守備に強いが、長い距離を走って攻撃に絡むこともある。詰まったらサイド攻撃を基本に、ハイボールや裏への放り込みもしてきたが、清水のCBの山崎教・田代とCHの青木・柴原で築く、ゴール前のボックスは強固だった。ドリブル勝負の橘相手だけでなく、安東の空中戦などを絡める明誠の攻撃にも十分以上に渡り合えたのは自信になるだろう。ミドルとセットプレー絡み以外でシュートを許したのは、34分の失点と、その直後のLH鈴木のクロスにRH小川のダイビングヘッドを許した場面 (GK長島がCKにディフレクト) のみだった。
 しかし、この試合の2/3近くはリードされた状況である。同点ならともかく、負けている以上、守っているだけでは評価できない。一方、明誠は後半、後方の守備組織は崩さずに、ロングボールやサイドでの単独ドリブルの回数を増やして枚数を掛けずに攻撃するよう切り替えており、リードしている状況に相応しい戦い方をしていた。リスクを考えたサッカーをしている相手を抑えたところで、負けている自分たちが決定機どころかシュートすら撃てていないのだから、完敗と言わざるを得ないだろう。それもボールを大切にするあまり、強引なシュートを自重したのならともかく、シュートを撃てる位置までボールを運べなかったのだから。

 具体的に言えば、前述の山崎・田代・青木・柴原のブロック、ここでボールを奪えるのだが、奪った後の展開に課題がある。畑や影山、石原あたりが元気なうちはスペースに動き出してパスを引き出すのだが、パスを受けた後、単独で突破を図ったり、キープして後方4人のブロックが押し上げるまで時間を稼ぐことができなかった (明誠のSH、特に鈴木が強力なせいもあるが、SHをサポートすべきSBの攻撃参加も少なかった)。後半、4人のブロックのうち柴原を意図的に前目に置き、前線への繋ぎの位置でキープさせるように修正した。しかし、疲労のためか動き出しが遅く、ならばと1年生を投入したが、パス&ゴーの「ゴー」の意識が弱いため、パスを受けた柴原がキープして相手を引き寄せてるのに、相手の空けたスペースに飛び出さずにリターンを待ってしまい、展開が前に加速しなかった。
 清水の唯一の好機は78分、左サイドでFW柏瀬とLH山崎祐で仕掛けるも上手くいかず、CH柴原を経由して戻したボールをCH青木が綺麗なサイドチェンジ。スペースにRB深澤がフリーで駆け上がり、トラップから状況をよく見てアーリークロス。ファーで柏瀬がフリーになるが、山崎祐と重なってしまい、ゴールを向けずにシュート未満のヘディングになった場面。一方の明誠は75分、右サイドでキープするFW安東に何を油断したか、中央に送った緩いグラウンダーのパスに誰も反応せず。PA内ニアでフリーのRH小川が反応するも、ビックリしたか当たり損ねでシュート未満になった場面。とはいえ、明誠はミドルや長距離のFKでも鋭いシュートを放っており、リスク管理しつつ攻撃面でも優位に立っていたと言えるだろう。

 後半の好機の場面を見ても、相手のミスに頼らずに得点を生み出すには、4人のブロック全体が押し上がる状況にならないと難しい。4人のブロックを押し上げるには、前線で押し上げる時間を稼がなかればならない。それだけのキープ力を持つのは柴原。柴原が前線に絡むには、4人のブロックが押し上がる必要がある。そのためには…、という堂々巡り。柴原をFWにする、というのも一つの解法なのだが、せっかく安定しているブロックを崩して大丈夫なのか、という不安が伴う。やはり、今の前線のメンバーで何とか奮起してもらいたいものだ。「鍋田」という回答が出る前に。

04月25日(土)
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