ID:70753
えすぱっ子
by ひかる。
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■プリンス東海 常葉橘高校戦
清水エスパルスユース 0−3 常葉橘高校
▼寸評
[私撰MVP] 山崎 教史
[私撰MIP] 鍋田 圭吾、前田 陽平
清水は快勝した磐田戦と全く同じメンバー、4-4-2。体調不良で前節外れた前田は、ベンチスタートになっている。先発は3年4人、2年3人、1年3年、中3が1人。
対する橘は4-1-3-2の布陣だが、清水のトップとは異なり、フィールドの至る所で三角形を作ってプレスを仕掛けられるようにしたら、こういう配置になりました、といった観のある守備重視のシステムである。バイタルエリアを守るDH5番の重要性は言うまでもないが、OH10番も常にSHと組んでFWやDHと共に三角形を組み、清水のCHやDFラインにロングキックを蹴らせないようプレスする。それ故に、あるいはそれを実現させるためにDFラインは非常に高く、高度なプレッシングサッカーを実現。昨年までの磐田ユースを思い起こさせるチームであった (監督が磐田トップの元監督なのだから、当然といえば当然だが)。
序盤は互いに攻め手の少ない、おとなしい立ち上がり。清水は開始早々、ロングキック1本でFW藤牧が浅いDFラインの裏に抜け、頭で押し込もうとした場面 (枠外) 以外は、前述のプレスに嵌ってしまう。橘の方もPA両横のスペースにロングボールを蹴り込むばかりで、そこへ通った場合すらドリブルからのミドルシュート以外に決め手がない。だが、この状況に先に焦れた清水は、プレスを交わそうとするあまり徐々にパスが雑になり、遂に23分、パスミスからカウンターを食らい、辛い判定ながらPKで失点。29分、前掛かったところを再びカウンターで2失点目。前の2試合で鍋田亜が見せていたような、縦のポジションチェンジでDFラインを乱す工夫も少なく、攻め倦んだまま前半を終えた。
後半頭から行徳監督は2人を交代。前線に突破力のある池上を入れ、中盤に前田を入れた。前田は柴原と共にサイドに開かずに中央へ絞り、中盤スモールフィールドでのプレスの掛け合いに真っ向から対抗。結果、清水は前半よりは高い位置からパスを出せるようになるが、そこからのパスでFWが最終ラインでの囲みを突破できない。53分、唯一の決定機もLB江守のロングフィードを藤牧がPA右に落とし、そこに走り込んだFW池上がGKを抜いてゴールに押し込もうとした (DFカバー) したものだった。一方、ミドルぐらいしか攻め手のない橘だが、それはリードしてる立場として計算どおり。63分、三度カウンターで清水ゴールを揺らすと、後は交代を繰り返してプレスを緩めず、そのまま逃げ切った。
3失点したとはいえ、CB2人の評価は下がらない。何しろ相手FWに1本しかシュートを許しておらず、PA内のシュートもPKの1本のみだ。スピードがある両CBは、橘得意のドリブルに落ち着いて対処。山崎は空中戦で勝った時のクリアの完璧ぶりと、負けた時の淡泊さに落差がありすぎるが、地上戦で相手の動きを読んで前に出る守備が素晴らしい。鍋田圭は山崎より幾分慎重かつ責任感が強く、相手が誰かを抜きにきたときに横からボールをかっさらう守備が光った。後は、CBから橘の浅いDFラインの裏を狙うロングフィードがあっても良かったと思うが…、これはベンチからの指示かもしれないので評価を差し控えておく。
攻撃面では殆ど良い面がなかった。その中で高いキープ力で相手のフォアプレスを交わし、攻撃の第一歩となった前田には一定の評価をしたい。だが、前田には中盤でのキープ力だけでなく、前線での突破力をも求められており、それ故、前田はよく動いているわりに、ポジショニングが中途半端だった。前田のパスから前の池上・柴原・佐野孝が突破を見せるか、或いは後ろの佐野諒・深澤・杉山から前田に勝負できるパスを供給するか、どちらかが必要だった。先制された場合、引いた相手をどのように崩すか、今後の大きな課題になるだろう。
05月03日(木)
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