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えすぱっ子
by ひかる。
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■クラブ選手権 静岡県予選 ジュビロ磐田戦
 だが、後から振り返れば、攻勢にも関わらず、清水は追い込まれていた。磐田の組織的なプレスの前に清水の連携は付け焼き刃で、主軸たる浩太・阿部が消されていた。この2人に徹底マークを付けるのは当然のことだが、下級生中心の前線周囲の選手たちは、彼らをフリーにする動きよりも、自ら突破することを選択した。
  「チャレンジとカバーリングの関係の歪曲」。
 チャレンジ成功率の高い阿部や浩太が、チャレンジする周囲のカバーに追われて、試合から消えた。さらに最終ラインは、鋭い読みで中盤に飛び出してプレスを仕掛ける高山だけでなく、森安・拓也も同様にチャレンジしたため、カバーの動きは皆無に等しかった。特に清水の右サイドは一触即発の不安定さを、抱え続けた。
 28分にはロングボールを競り切れず、磐田が森安を振り切って、左45度の角度から強烈なシュート。これは風間が弾いたが、倒れていた森安がクリアできず、再び同じ位置から危険なシュート。幸いにも、ゴールを外れる。ロスタイムには、またも中央から左サイド(清水の右サイド)の裏を破られ、1対1。これは辛くも相手シュートミスに救われた。

[後半]
 後半開始と同時に、清水はポジションチェンジ。山本真希をFW、鈴木真司を左MF、大瀧義史を左ボランチに。大瀧を浩太の補佐役にしたことで、ある程度は浩太も持てるようになるが、逆にパスを受ける前線の4人が連携無視で突破を図る、「香車」を4枚前に並べたような状態。個人技志向に、拍車を掛けただけであった。
 20分には、中央から左にスルーパスを出されると、DFが振られ、大杉の折り返しに中央沼野がフリー。落ち着いて決められ、1−2。逆転。続けざまに25分、CKをニアの大杉に軽く流し、神谷が詰めて、1−3。さらに30分には、左サイドからのハイボールに風間が競り負けると、笹垣が落としたところを冷静に神谷が押し込み、1−4。万事は休した。

 それにしても、磐田は意気込みが違った。前述の通り、確かに東海大会出場2枠の内の順位戦に過ぎないかもしれないが、1位は愛知1位(名古屋)と対戦せずに全国切符を掴む機会を得られるのだ。磐田は序盤こそ固さもあったが、中盤での激しいプレス、そして自分たちは中盤を避け、ローリスクのロングフィード、逆転後の時間稼ぎなど、結果を追求する姿勢が伺えた。
 対して清水は、この試合の意味合いを理解していたのであろうか? 抜群の相性を見せていた枝村ではなく、中学生の真希を浩太のボランチに組ませた。何より、先制点を奪った時の清水と、逆転に成功した時の磐田の喜び方の違いを見ると、明らかに気持ちの強さで後手を踏んでいたように思える。これで清水は「グランパスユース史上最強」の呼び名の高い名古屋を倒さずには、全国の地すら踏めない。相応の覚悟を持って、臨んでもらいたい。

(後日談)
 この試合、私が最も苛立ったのは、清水に「決戦」の意識が薄かったこと。しかし、実は東海の全国大会出場枠は昨年と同じ「3」で変わらなかったそうで。つまり、東海大会で名古屋に負けたとしても、3位決定戦に勝ち抜ければ、全国に出場できます。そうであれば、磐田相手でもリスクチャレンジを崩さなかったこと(悉く失敗したが)も評価できますし、東海大会で強敵である名古屋と戦っておくのも、悪くない。東海大会で優勝すれば、全国の組み分けで優遇されるかといえば、そうでもないことを、過去に清水自身が証明してますから(苦笑)。全く手前勝手な批判を反省してます。


▼試合結果
清水エスパルスユース 1−4 ジュビロ磐田ユース
 得点:前半05分:清水・枝村 匠馬 (大瀧 義史 ・左クロス)
    前半10分:磐田・神谷 優 (渥美 順仁 ・スルーパス)
    後半20分:磐田・沼野 成吉 (大杉 健悟 ・左クロス)
    後半25分:磐田・神谷 優 (大杉 健悟 ・ポストプレー)
    後半30分:磐田・神谷 優 (笹垣 亮介 ・ポストプレー)


▼選手寸評
風間 翔太  4.0 ボールの処理に不安。コーチングも効果的なポジション修正がない。

杉山 拓也  5.0 突破技術は無双の成功率を誇ったが、自らの裏にスペースを提供。

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04月28日(日)
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