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ビバ彦♂日記
by ビバ彦
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■050130「Hello! Project 2005 Winter オールスターズ大乱舞」@横浜アリーナ(夜公演)印象断片記
つい先刻まで少女達が慌ただしく乱舞していたステージ。
激しいエネルギーが奔流のように渦巻いていた舞台に沈黙が舞い降りる。
一人の娘。の登場によって時の流れが止まったのだ。
ステージの中央には白のドレスに身を包んだ長身長髪の娘。。
顔にはたおやかな慈愛を湛えた微笑みが浮かんでいる。汲めども尽きぬ泉がごとく、
ゆっくり自然に満ちてくる微笑み。聖母マリアを描いた西洋名画を彷彿とさせる優美さだ。
この聖母の微笑みが基調となり、形而上的な永遠すら感じる荘厳な時の流れが舞台を支配する。
こうして飯田圭織の“卒業式”がはじまった。
□
本当は僕は乱れる彼女が見たかった。
我を失い、なり振りかまわず嗚咽する彼女を見たかった。
眼が見えないと言い出す飯田、ジョンソン飯田、へんてこロボットダンスの飯田、
パラノイアダイアリーで精神の暗黒面を曝け出す飯田……過去、彼女はアイドルと言うには
余りにもエキセントリックでダークな顔を幾つも見せているし、卒業式という特別な式典では、
内面的激情の発露が真情の表現だと思っていたからだ。
しかし僕の欲望に反して彼女はついぞ取り乱す事はなかった。娘。リーダーとなって身に付け
ざるを得なかったセルフコントロールによって今回も彼女はバランスを崩す事は無かった。
ステージにあったのは、全てを許容するような丸くて大きい微笑。
一世一代の大舞台にあっても常に抑制を手放さず、大きな眼と厚い唇の描く柔和な聖母の笑顔で
残された娘。たちと観客を暖かく包み込む彼女、飯田圭織。
娘。になってからの7年間、リーダーに就任してからの4年間の月日によって確かに彼女は変わった。
涙に濡れた微笑を浮かべながらゆっくりと娘。と観客たちに別れを告げるモーニング娘。二代目リーダー。
そこには大げさな感情的アクションも会場を一変させる名言もない。
しかし、なんと芳醇で滋味深い時間なのだろう。 なんと豊かな時の流れ。
かつて貞子のような表情を弄ばれた不思議系ネクラ美少女は、やがて聖母の微笑で大会場を
抱擁/包容する大人の女性へと成長した。
その変容の時間を幾ばくかなりとも共有出来た事を誇りに、そして喜びに思う。
飯田圭織さん、卒業おめでとうございます。
01月31日(月)
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