ID:64092
ビバ彦♂日記
by ビバ彦
[779593hit]

■新曲雑感
新曲「Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜」のお披露日。

矢口のANNまで待つか……と思っていたらいきなり流出MP3が送られてくる。

第一印象はというと……いつも通りの強烈な違和感。マジかよ、つんく……って感じ。

そう言えばこの2年程、異物感なしに聞けた新曲って「HSW」と「恋レボ」だなぁ。
ただ、事前に関係者筋に聞いていた曲調・構成・パート割と全く同一だったので、その点では軽く失望。今回はアドバンステープから手を入れなかったんだな。

MP3の音質が悪すぎる(多分意図的)ので、リピートして聴く気にならなかったが、我慢して3〜4回ほど聞くと、色々な発見があった。

吉澤・安倍・後藤のメインボーカル陣の充実。
上手いとか下手とかいう次元を超越して曲をモノにしている節がある。
特に吉澤のプレスリー風(?)のボーカルはすくなくとも録音物の次元ではハマっていると思う。
それに、最近の娘。シングルには必ず存在したスクラッチが撤廃されているのも好印象。安易なスクラッチって今、一番カッコ悪い音だと思う。

外面的には、笠置シヅ子+ブライアン・セッツァー楽団+宝塚なんだろうけど、そんな印象批評は誰でも言える事で…

それと、歌詞がつんくの想いを真率に表現したという指摘もあった(by有馬君)。
確かにそれはその通りなんだろうけど、それが曲全体のパフォーマティブな効果を向上させているかと言うと、おおいにクエスチョンマークです。
逆に言えば、実存的な想いをポップミュージックの3分半ストーリーに落とし込めなかったともいえる訳で。
基本になるけど、大衆に伝播する昔話・民話(含ポップミュージック)って高度にコード化(=骨組み化)されるから、多義的な意味産出作用(=普遍化)を持つわけでさ。
その意味では、つんく個人の想いを生の形で表出したと思わしき箇所は、何の普遍性もなく、万人が勝手な思い入れ(=意味産出)のできない箇所とも言えると思う。
個人的な思いを表出することが、受け手に還元不可能な実存的な感動を生むわけではなく、全く逆にコード化された普遍的な表現こそが、受け手に還元不可能な実存的感動を呼ぶんだと思う。
(だからと言って、凡庸な表現をしていればいいってことじゃないことぐらいは分かってくれるよね)
その点では、今回の歌詞はちょっと破綻してるところがあるかな。

とか何とか言いつつ、最終的には、ダンスパフォーマンスしている娘。とともに見ないと何ともいえないっす。

ただ、つんくはトライしたということは間違いない。
そしてそのトライが奇を衒う方向ではなく、何つうかベーシックにカッコいい方向に向かったことは特筆すべきだと思う。

う〜ん、上手くいえないけど、やっぱりつんくってバブル期以降の――しかも非常に優秀な――クリエイターだわ。「引用の織物」やら「差異の快楽」なんつう弱々しいメタファーが通じないポジティブ(=ベタ)な強度をもった表現を作り出さなきゃいけない時代のクリエーター。

とりあえず、「MUSIX」でのTVお披露目前に言っておきたいのはこの位。


* 「MUSIX」を見に行った掟さんから色々聞いたけど、自分の目で見るまではトータルな判断はペンディング。



10月18日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る