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ビバ彦♂日記
by ビバ彦
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■12.29爆音クリスマス意気込み
「クラクション」を歌唱。それも何と、“マシュケナダ”、“おいしい水”風ボッサアレンジが施され
たリアレンジ作! このリアレンジ作のストリングスの清涼感と言ったら! A&Mの
セルジオメンデスかと。中澤さんの声量がないことが却って呟くような囁くような効果を醸し出し、
見事にボッサ風アレンジにハマる事、ハマる事。姐さんボーカルとバックトラックの織りなす
柔和で繊細な曲の世界に心地よく酔い痴れました。
図らずも隣で見ていた上海氏と「飯田がコレをやれば……」と同じ事を言い合いってしまったのは
何とも……。ちなみに中澤さんは曲中でポルトガル語の歌唱にも挑戦していました。
また、中澤さんの歌唱もやや変わったような印象。線の細さは相変わらずですが、やや粘り、
腰が出て来たように感じました。
さらに曲を歌唱することへの集中力、愛情はおそらくメロン記念日を超えてハロー!ナンバー1
なのではないでしょうか。 彼女は体全体で嬉しさを、愛おしさを現しながら曲を歌唱します。
その振る舞いはあまり洗練されたものではあらず、失礼ながら大スターのそれとは言い難い泥臭い
ものではありますが、しかしだからこそ、そこに掛け替えの無い大切な何かを感じとらざるを得ないのです。
□
最後の一段落、ちょっと違う。
「朴訥」「無骨」「不器用」を実存あるいは真情の発露とする見方ってのもまた浅薄すぎる。
眠かったので、自分の実感に嘘付いて簡単にまとめすぎた。
ねーさんは「夜のバイト」の経験もあるわけで、多彩な手練手管によって真情をカムフラージュ
することの機微、これもまた重要。
もちろん彼女のステージの端々で感情的真実を感じとることはできる、が、しかし、実はそれらは
常に「弱肉強食」を生き抜いて来た演出術によって偽装されていることを忘れてはならない。
そしてその虚実の両面が形作る陰影こそが味わい深いのだ。そこでは「真情」「実存」なる一回性の
感情/真実だけではなく、彼女の人生(これは一回限りの実存)の中で培われた「演出術」
(ある種の傾向、法則性を伴う反復可能なもの)もまた重要な役割を果たしており、そのふたつの
要素の微妙な絡み合いが、彼女のステージに成熟した味わい深い“こく”を醸し出している。
これは鮮度(だけ)が売りの小娘には到底不可能な芸当であろう。
そう、中澤裕子はエンターテイナーとして素晴らしい武器をその手中に収めている――「時間」と「経験」。
12月27日(月)
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