ID:633
TAKANORHYTHM
by Tomoe
[409079hit]
■自意識という病
女性の関わった日本の刑事事件(比較的最近)について作者の主観まじりに取り上げた真面目な本。
以前、「ショッピングの女王」の頃のこの人の本を読んだときはあまり好きじゃありませんでした。
買い物依存症の度が過ぎてて嫌いなタイプだった。
その後ホストにはまり、美容整形にはまり、その模様をしつこくしつこく文章にしてるのを見て、
なかなかここまで自分のマイナス面を出せる女はいねぇ、と感心しました。
それでも分野によって好きな本と苦手な本がありますが。
今回のはノンフィクションライターが取り上げるような題材なので
正直どうなの、と思いながら読みました。
最初はあまりに主観が入りすぎてて共感できない…と感じました。
が、読み進むにつれて、「これが事実ではないだろうけど、こんな解釈もあるのね」と
思うように。
最後の「赤い自転車連続通り魔事件」
(2003年 名古屋で自転車に乗った30代女が起こした通り魔殺人)は、
内容もぼんやり覚えていたけど本人の生い立ちとかは知らず、
作者の解釈に引き込まれてしまいました。
折りしも今日は畠山鈴香被告の裁判で無期懲役が言い渡された日。
なぜこんな事件を起こすのか、事件のあと犯人はどう考えているのか…
たぶんどんな報道でもすっきりした説明にはならないと思う。
犯人本人にすら理由がわからないこともあるんじゃないか。
何かを選択するとき「こうだから、こうする」と完全にわかってて
やることばかりじゃないし。
この本は「女の自意識」から生まれる抑圧が犯罪にまでつながる様子を書いてます。
むろん、女だから男だからという二元論でばかり語ってはいけないとは思う。
でも女のほうが、小さい頃からまわりの空気を気にしてて、
他者の評価に敏感になりがちなのは確か。
「愛されなきゃ終わり」みたいな。
たとえ一人でどれほど努力して仕事で成功しても、
パートナーや子供がいなければ女としては終わってる、という価値観から
なかなか逃れられない。
自分の意思でどっちも持たないことにした人でも、
義務を果たしてないという罪悪感に苛まれてたりします。(実感)
ルックスが良く、仕事もできて、経済力があって優しい夫とかわいい子供がいて…
何でもかんでも揃ってないとダメだと思ってしまう。
普通に(この普通というのが問題なんですが)結婚して家庭を持って子供を育てるという
平凡な暮らしができなくて苦しむ人、
何もかも手に入れてもまだ足りないものを探してしまう人。
「あるべき自分」と「現在の自分」に乖離を感じている限り、
貧しかろうが富んでいようが、「足りない」ことには変わりがありません。
「金が欲しいから」「むかついたから」と
突然犯罪を犯してしまう人たちと、自分の間にどれほど差があるのか。
平凡に暮らしているつもりでも、
ほんの少し方向が違えば自分も鈴香みたいになってしまうんじゃないのか…と
ときどき怖くなります。
昔からアウトサイダーの心理に興味があるのは、
自分の中にも理解できない暗い面があると思っているから。
むしろ、犯罪を犯す人々を完全に他人事だと思ってる人のほうが、
自分の影の部分に気づかないうちに突然一線を超えてしまうのではないのだろうか…。
*
ネットをやっててよかったことは、
ほかの人たちも自分と同じようにさびしかったり、不安だったり、
醜かったりするのがわかることです。
優しい言葉や立派な言葉より、
欲望丸出しな言葉や罵詈雑言を見るほうがかえって安心したりして。
人間の中にはきれいな面も汚い面もあって、
両方があることをちゃんと認めなきゃきついです。
まとまらないからこれで終わりにします...。
もう午前3時( ̄ー ̄; 起きられるかな。
03月19日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る