ID:633
TAKANORHYTHM
by Tomoe
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■(WO)「とびきりいかしたジュークボックス」に捧げる言葉
聴く人によっては「頽廃的な快楽主義」やら「世紀末の死生観」までエスカレートしてたような記憶がある、と。
(たぶん、その手の論は私も何度か読んだと思う)
とにかく感覚的で、大半の人にとっては「わけわからないもの」。
けれど、とらえどころがない分、自由に受け取れるのかもしれない。

  「ムード以上でも以下でもないこの“匂い”こそが、ミッシェルという
   “ジュークボックス”に相応しかったのである」

歌詞の意味がわからないと聴けないって人には確かにミッシェルはダメだろうな。
ご機嫌な轟音と、不条理で感覚的な歌詞が、彼らの持ち味だったな。

  「そうなのだ、この“感覚派の轟音”に我々は魅了され続けたのだ。」

市川氏は語る。
  「とにかくロックバンドをやる事以外に能はなくて、自分たちが心酔した
   洋楽ロックの香りを音のみならずアイテムやスタイルまで独自にパッケージ化し、
   ひたすらそんな生活を謳歌してきた“愛すべき駄目男たち”」
  「ツアー中だろうがリハ中だろうがオフだろうが、暇さえあれば練習スタジオに入って、
   締切やリリース関係なく新曲をぼこぼこ作ってた“愛すべき駄目男たち”」と。

ああ、こういう書き方、好きだな。
どうしても解散となると、みんな、伝説だとか歴史に残るとか、
彼らの凄い面ばっかり強調してしまいがちじゃない。
だけど、彼らは、つまるところ、ロックンロールに魅せられて、
自らの衝動に従って転がり続けることしかできない、
バカといえばこのうえもなくバカな野郎どもだったんだよなあ…。
ファンはそういうところも愛してたんだよな。

彼らのことをよく知らない人らにはそこんとこがわからないのかもしれない。
音楽史に名を残そうとか、チャートの上を取ろうとか、そんな計算をする前に、
自分たちの大好きな音楽を思いきり作ってライヴをやるのが
何より大事だった人たちなんだと思う…。
結果的に皆に受け入れられて、1万も2万も客が来るバンドになったけども。

チキンゾンビーズの頃に、ブレイクしはじめた感想をチバに求めたら、
「仕事終わりにラーメン屋で、餃子といっしょに頼むビールが
 1本から2本に増えるぐらいの幸せ」と言ったそうだ。
チャートのトップ10に入るくらいブレイクしかけていた頃に…。

そういう人たちなのだ。

ミッシェルをデビュー頃から見守ってきた、
彼らの音を愛した人による、
「ミッシェル・ガン・エレファントとは何者だったのか」という文章。

その内容が適切と思うかどうかは別にしても、私はこのレポがとても好きだ。
この文章には、
たとえ無理だとわかっていても、あの4人でいかした音を作り続けてほしかった、という
さみしさが見え隠れしていると思うから…。

彼らがいなくなって、
ロックフェスで外国のバンドにまじっても遜色がないような、タフなロックバンドがひとつ減った。
そしてロックンロールに魅せられた、どうしようもない駄目男たちが、
ライヴのあとに、大笑いしながら飲み交わす姿が見れなくなった。

ファンにとっては、前者より後者の方がよりさみしいのだと思うのだ。


市川氏はこうまとめる。

  (チバは)今はもう落ち着いて3本目のビールを美味そうに呑んでるのだろうか、
  私は未だ、ロンドンや北見のライヴハウスで目撃したとびきりいかしたジュークボックスの姿が、
  目に焼きついて離れないのであるが。


あなたたちがいなくてこんなに寂しい。

10月31日(金)
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