ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「人の目や世間というものは、車窓から見える景色みたいなものなんです」
『秋元康の仕事学』(NHK「仕事学のすすめ」制作班・編)より。
(2010年5月にNHK教育テレビで放送された「ヒットを生み出す企画力 秋元康」の放送とテキストを元にまとめられた本の一部です)
【第1章でも申し上げたように、もしも僕がお茶汲みをするのであれば、その部署の全員の健康状態や趣味嗜好を調べて、それぞれの人に合ったハーブティをブレンドして出してあげようと思うでしょう。なかには、そのときに先輩から「なに、あのコ、勝手なことして」と言われる人もいるかもしれませんが、そういった意見は全く意に介さなくていいですよ。
人の目や世間というものは、車窓から見える景色みたいなものなんです。例えば、電車の窓から、田んぼの真ん中で踊っている裸の女の人が見えたとします。みなさん、そのときは「なんか、変なのがいるぞ」って窓際に集まりますよね。けれど、次の駅で降りてタクシーを飛ばして見にいく人はいないものなのです。
あるいは男性が、「おれ、エアロビ習おうかな」と、ふと思ったときに、でもレオタードを着ることが、恥ずかしいと思うかもしれません。はじめのうちは、見た人は「プッ」と笑うかもしれないけれど、何回か通っていると、ずっと見ている人なんて誰もいなくなるんですよ。多くの人は、そのはじめの部分だけを気にして、やりたいと思うことを断念してしまうんです。
ですから、先輩に「なに、あなた、勝手なことして」と言われることだけに怯えて、何もやらなかったりすることが、僕はとてももったいないなと思うんです。その先輩が家までずっと後ろをついて「カッテナコトシテ、カッテナコトシテ……」と耳元でささやいていたら別ですよ。けれど、そんなわけ、ないじゃないですか(笑)。
人に悪口を言われたとしましょう。悪口を言われたら、みなさん傷つくでしょう。でも僕は、悪口を言われてずっと落ち込んでいる人によく言うんですけれども、悪口を言った張本人は言った瞬間に満足することが多いんですね。それでもう充分で、そのあとは友達と飲み屋でバカ騒ぎをしているか、テレビを見て大笑いして、とっくに忘れてしまっています。それなのに言われた被害者のほうが引きずってしまうんですね。そうやって、ずっと傷ついている人というのは、何かこう、おならを手に握って、ずっと嗅いでいるような感じに見えるんです(笑)。もう、いいじゃないですか。その瞬間は臭かったんだからと思うのですが、すごく大事に、何度も何度も「くせぇなあ……」と言っているように見える。それは、非常にもったいないと思うんですよ。なぜなら、いつかは忘れるわけじゃないですか。だったら早いほうがいいでしょう?
僕が今、人生の半ばで思うことというのは、自分勝手でわがままに生きることの大切さです。もちろん社会のルールは守らなければいけません。青信号は進めで、赤信号は止まれということを守らなければ、この社会では生きていけません。しかし、それさえ守れていれば、人に嫌われようが、自分の生き方を貫くほうが魅力的だと思うんです。新しいことをやろうとするときには、必ず反対意見が出るものなのです。多少嫌われてしまうのは、しょうがないんですね。つまり、嫌われる勇気を持たないと優れた企画は生まれないのです。「こんなのはだめだ」「こんなの当たるわけがない」と言われては当然なんですよ。むしろ、みんなが「いいんじゃないの?」という平均点の企画ほどつまらないものはないんですよ。】
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これを読んでいて、僕は、「あの秋元康さんも、いろいろと苦労してきたんだなあ」と思わずにはいられませんでした。
こういう心境に至るまでには、悪口に対して、けっこう傷ついたり、落ち込んだりされたこともあったのではないでしょうか。
放送作家として「時代の寵児」になったときの秋元さんへの評価は、けっして好意的なものばかりではありませんでした。
僕も、「なんかうまくやったなこの人は……おニャン子クラブの高井さんと結婚までしちゃったし……」と思っていましたから。
有名になるっていうのは、けっして、良い面ばかりじゃない。
ここで秋元さんが仰っておられるような「人の目や世間」って、やっぱり気になりますよね。
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06月23日(木)
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